"多摩川に沈んだ食堂" 第8話
「話にを伸ばしました。でも、怖かったんです」
逃れてきた過、分の、借、揉みった事実。警察を呼べば、すべてが調べられる。自分がオンスクを殺したことにされるかもしれない。
そううと、話ができなかった。
助けを呼ぶという、ただ1つの当たりのことが、男にはできなかった。
「そこから先は……最です」
男は唇を震わせた。
夜の商は、気がなかった。男は混乱したのまま、オンスクの骸をのへ運びした。誰にも見られないように、摩川の川敷まで運んだ。
そして、のに埋めた。
にあったげ庫には、帳と鍵を入れた。それも緒にのへ埋めた。
「すべてを、なかったことにしようとしました」
男はくを垂れた。
「オンスクさんが自分のでどこかへ消えた。そういうことにして、誰にも何も気づかれないように」
部の隅に置かれた古いテレビの画面に、3のがぼんやり映っていた。
男はそのを見つめながら、かすれた声で言った。
「ひどいことをしたといます。オンスクさんは、私を本当の弟みたいにがってくれた。命の恩みたいなだった。そのを、私は……」
言葉が続かなかった。
「あれから13、1だって忘れたはありません。夜、目を閉じると、オンスクさんの顔が浮かぶんです。最に私を見た、あのしそうな目が、ずっと私を責め続けていました」
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男はもう涙を隠さなかった。
「いつかこうして誰かが訪ねてくるが来る。それを待っていた気もします。罰せられるのは怖い。でも、このまま何もかされずに、オンスクさんがただ消えたとして忘れられていく方が、もっと怖かった」
そして男は顔をげた。
涙に濡れた顔には、どこかほっとしたような表があった。いたった1で背負ってきたい荷物を、ようやくろすことができた。そんな顔だった。
「私がやりました。すべて、お話しした通りです。どんな罰でも受けます」
宮本はその告を黙って聞いていた。
事件は解けた。
13、に沈んでいた真相が、今すべてらかになった。
刑事として宮本は、数えきれないほどの罪を見てきた。憎しみ、欲望、勝な犯。そういうものに対して、宮本は迷いなくりをじることができた。
だが、この男に対して湧いてきたのは、りだけではなかった。
い、いれみだった。
異国にたった2で流れ着いた者たち。互いを族のようにい、を寄せってきていた。だが、その片方が暮らしにき詰まり、もう片方にすがりついた。そして些細なはずみが、2を引き裂いてしまった。
オンスクは最までこの男を見捨てなかった。
怯えながらも、追い詰められながらも、「私がなんとかするしかない」
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とい続けていた。
そのオンスクを奪ってしまったのは、ならぬこの男だった。
男は13、そのさを1で抱え続けてきた。
宮本は、ぽつりと言った。
「辛かったろう」
刑事の言葉として正しかったのか、自分でも分からなかった。
けれど、それが宮本の偽らざる気持ちだった。
「オンスクさんを、ちゃんと見つけてやれてよかった。13ものに置いておくわけにはいかんからな」
男はその言葉に、声をあげて泣いた。
子どものように肩を震わせ、い泣き続けた。
隣で藤も目を赤くして俯いていた。
若い彼女がこの事件を通してったのは、単純な善悪の物語ではなかった。
がをう気持ちのさと、もろさだった。
その、男の証言に基づき、摩川の川敷が改めて掘り返された。
男が示した点から、オンスクの骨が見つかった。
いを経てに還りかけたさな骨。
それでも、ようやく彼女はのからののもとへ戻ってくることができた。
検の結果は、男の告とい違わなかった。部へのい衝撃。階段からろに倒れ、打ちつけたの傷。
事件はこうして、13の歳を経て結末を迎えた。
李恩淑は、自らので消えたのではなかった。
彼女は最まで1の若者を案じながら、些細なはずみで命を落としていた。
そして、その若者は13もの、たった1で罪のさを背負い続けていたのだった。
すべてがらかになった頃、季節はすっかりのまりを迎えていた。