"「このおばあちゃん、危ない」六歳の孫が見たもの" 第13話
梅の季節の約束
、町内会の公民館でさなお茶会がかれた。
野さんが、蛇田さんの梅干しをみんなに紹介してくれることになったのだ。漬けた分がしだけ残っていたので、それを皿に分けてすことになった。
「蛇田さん、これがあの梅干しね」
とめさんがひとつつまんだ。
「そうよ。の分だけど、は丈夫だとうわ」
「おいしいじゃないか。塩気がちょうどいいよ」
「ご主が好きだったなのね」
「ええ。あのは、これをお茶漬けにしてべるのが好きだったの」
蛇田さんは、懐かしそうに目を細めた。
集まったたちは、梅干しをに運びながら、作り方や漬ける期について尋ねた。蛇田さんは、梅を洗うところから干すまで、ひとつずつ丁寧に説した。
その、誰も「お菓子を持ってきて」とは言わなかった。代わりに、「来は緒に漬けたい」「作り方を教えてほしい」と声をかけていた。
も母親の麻と緒に来ていた。蛇田さんが皿を差しすと、は私を見た。
「べてもいい?」
「もちろん。蛇田さんが作った梅干しよ」
「きよ子おばあちゃんの梅干しね」
は、梅干しをしだけに入れた。
「すっぱい。でもおいしい」
蛇田さんは、笑いながらのを撫でた。
「来は、ちゃんにも緒に作ってもらおうかしら」
「うん!」
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お茶会の帰り、麻がのを引きながら言った。
「お母さん、から話を聞きました。あの、私が教えていたことを覚えていてくれたみたいです」
「は、よく見ていたのよ」
「でも、蛇田さんを怖いだとっていたわけではないんですね」
「そうね。危ないと言ったのは、私を困らせることが起きそうだとったからみたい」
麻は、のを握り直した。
「、ばあばを守ってくれてありがとう。でも、困ったはすぐに言うのよ」
「うん」
は、私の方を見た。
「ばあばも、ちゃんと聞いてね」
「分かったわ。ばあばもの言葉をちゃんと聞くね」
そのの夜、計簿の余にだけいた。
。蛇田さんの梅干しをいただく。が「きよ子おばあちゃん」と呼んだ。
その文字を見つめていると、夫がきていた頃、蛇田さんの梅干しをべて「今もおいしいな」と笑っていた姿が浮かんだ。
の暮らしは、いつのにか変わっていく。夫がいなくなり、族が訪ねてくる回数が減り、いつもあった声が聞こえなくなる。蛇田さんがじていた寂しさを、私はしだけ分かる気がした。
それでも、何かを渡し続けなければ名を呼んでもらえないわけではない。
名を呼ぶこと。話を聞くこと。お茶を緒にむこと。
それだけでも、とはつながっていけるのだとった。