"「このおばあちゃん、危ない」六歳の孫が見たもの" 第5話
噂のにいる私
翌朝、ですれ違った所の奥さんたちが、私を見ると会話を止めた。
「静子さんが蛇田さんに、お菓子を配るのをやめろって言ったんですって」
「蛇田さん、泣いていたらしいわよ」
「親切で配っているのにねえ」
聞こえないふりをして通り過ぎたが、言葉は背に刺さるようだった。
夕方、とめさんがのまで来た。呼び鈴を押すに帰ろうとしたらしい。私が声をかけると、とめさんは肩をすくめた。
「静子ちゃん、し話していいかい」
「もちろんです。どうぞ」
とめさんは、玄関先でし迷ってからをいた。
「蛇田さんのこと、私も配しているよ。でもね、あんたが悪者みたいになっているのは、見ていて気分がよくない」
「蛇田さんを傷つけたのかもしれません」
「配して言ったんだろう。それなら、そこまで気に病まなくていいよ」
「でも、蛇田さんは寂しいからお菓子を配っているんだと、みんな言います。そうなら、受け取らない私がたいに見えるのでしょうね」
「受け取ることと、相のためになることは、同じとは限らないさ」
とめさんは、玄関の敷居に腰をろした。
「私だって、所のから何かもらうことはあるよ。断ったら悪いとって受け取る。でも、毎続いたら気がくなる。あんたは蛇田さんの懐まで配したんだろう?」
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「はい」
「だったら、その気持ちは違っていないよ。ただ、言い方は難しいもんだね」
とめさんの言葉に、私はしだけ救われた。
その週末、が再び泊まりに来た。母親の麻が仕事の都で、曜の夜から翌の夕方まで預けたいという。
は玄関に入るなり、私の顔を見た。
「ばあば、蛇田のおばあちゃん来た?」
「まだよ」
「お菓子、もういらないって言った?」
「どうして?」
「この、ばあばが配してたから」
は靴を脱ぎながら、私のを握った。
「ばあばが配するの、いやだよ」
「はやさしいね。でも、蛇田さんに失礼なことを言ったらだめよ」
「うん」
その夜、布団を並べて横になった。は井を見つめている。
「、蛇田さんのお菓子を受け取りたくないのは、どうして?」
「わかんない」
「この、『あぶない』って言ったでしょう。何があぶないの?」
はしばらく黙っていた。
「わかんない。でも、ばあばがあそこにいたら、こわいことになる気がした」
「どんなこと?」
「わかんない」
は同じ言葉を繰り返した。私はそれ以尋ねるのをやめた。
「分からないなら、無理に考えなくていいのよ。ばあばが蛇田さんとお話ししてみるからね」
はしたように目を閉じた。
孫が眠ってから、私は計簿の余にきした。
。、「蛇田さんはあぶない」と言う。理由は分からない。
子どもの勘を、すぐに信じ込むつもりはなかった。けれど、がを怖がるのは珍しい。私はそのことを忘れないようにした。