"正月、娘を家政婦扱いした義実家――私が下した決断" 第5話
終わらない使役と、凍りついた晦
台所にを踏み入れた瞬から、休むもない労働が始まりました。
流し台には、親戚たちがみいしたの汚れた皿やグラスがのように積みがっていました。 コンロのではきな寸胴鍋がいくつも湯気をげ、煮しめや汁物の仕込みでの踏みもありません。
「ゆり子さん、ボサッと突っってないで、その里芋の皮を全部剥きなさい! 包丁のが遅いわよ!」 姑の声が狭い台所に響き渡ります。
美咲は言われた通り、い座布団を抱えて客と納戸を何往復もし、いお茶を淹れては親戚たちへ運んでいました。 親戚の男たちは、学の美咲がお茶を差ししても、「おう」と横柄に受け取るだけで、お礼の言葉ひとつありません。
それどころか、茶ののから賢の呑気な呼がかかりました。 「おーい、ゆり子! ビールもう本! あと、なんか気の利いたつまみ持ってこい!」
私は里芋ので汚れたを洗い、客の襖をけました。 「自分で取りに来てよ。台所、今すごく忙しいの」
私が静かに抗議すると、すかさず背から姑が割って入ってきました。 「何言ってるの! 距を運転して疲れている旦様を労うのは妻の務めでしょ! 嫁が夫をてないでどうするの!」
賢は母親のろ盾を得て、勝ち誇ったように空になった皿を私に突きしてきました。
広告
「母さんの言う通りだぞ。ほら、これもげて洗っといてくれ」
伝う気など微もない、ただの傲な主気取り。 私は何も言わずに皿を受け取り、再び台所へと戻りました。
それからは、底なしの事獄でした。 夕の宴会が終われば、数枚の皿洗いが待っていました。 美咲がたいで油汚れを落とし、私がそれを拭いて器棚へ収める。
それが終わると、今度は「階の客に布団を組敷きなさい」と姑から命じられました。 い綿布団を階段を使って何往復も運ぶ美咲の細い腕は、疲労で刻みに震えていました。
親戚の子どもたち――美咲と同代の従兄弟たちは、コタツでゲームをして笑い転げています。 誰も美咲に声をかける者はいませんでした。 こので「客」ではないのは、私と美咲のだけだったのです。
翌の晦も、獄のような過酷さは変わりませんでした。 朝のに叩き起こされ、全員分の朝の準備。 片付けが終わるや否や、の廊の雑巾がけとおせち料理の箱詰め。
を縫うように、茶のからは「おい、お茶!」「酒のつまみ、乾き物切れてるぞ!」と、まるで召使いを呼ぶかのような声がひっきりなしにんできます。
賢はといえば、朝から親戚とビールをかっらい、昼過ぎにはコタツでいびきをかいて爆。
広告
夕方に目を覚ますと、再び酒をみ始める始末でした。
「賢、しは伝ってよ。美咲のを見て。たいで真っ赤になってるのよ」 私が廊で声で詰め寄ると、賢は赤ら顔でヘラヘラと笑いました。
「正くらいゆっくりさせてくれよー。母さんも昔はこうやって嫁の仕事をこなしてきたんだからさ、おも跡を継いでしっかりやれよな」
反省のかけらもない、無神経極まりない言葉。 私たちがいつ座って休めるのか、温かいご飯をいつにできるのかなど、この男にとってはったことではないのです。
除夜の鐘が鳴り響く頃には、私の腰とは棒のようになり、っているだけで目眩がするほどでした。 美咲はえ切った納戸の隅の煎餅布団に潜り込み、疲れ果ててのように眠っていました。
する娘に、こんな惨めないをさせるために再婚したのか。 暗ので眠る娘の寝顔を見つめながら、私の胸のに、決して消えないどす黒い炎が静かに灯り始めていました。