"高齢女性を後回しにした受付――絵を替える女性の正体" 第14話
絵の掛け替え
の終わり、診療所の壁の絵が、赤い実から淡い黄のへ替わった。
受付の横にいた千代さんが、脚を畳んでいる。私は薬を受け取り、帰るに声をかけた。
「千代さん、いつも絵を掛け替えてくださっているんですね」
「父が院だった頃からね。待がしでもるくなればとって」
「このは、ありがとうございました」
「私は話を聞いて、院に確かめてもらっただけよ。田さんが自分のことを話したから、診療所もけたんでしょう」
千代さんは額の傾きを確かめ、壁から歩れた。
その、田さんも診察に来ていた。彼女は受付で自分の診察券をし、浦さんから番号札を受け取っていた。
「今は何番ですか」
「番よ。静子さんは番ね。今は私の方が先」
「それなら、診察が終わるまで待っています」
田さんは笑い、待の窓際に座った。彼女の背は、のようにこわばっていなかった。
やがて、入から配の男性が入ってきた。顔が悪く、壁にをついている。浦さんはすぐに席をち、護師を呼びにった。
待のたちは、番号札を見ながら静かに待っていた。誰もその男性を責めなかったし、誰かが勝に診察の順番を決めることもなかった。
護師が男性の様子を確認し、院と相談して診察へ案内した。
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浦さんは待に戻り、「体調の確認が必な方がいらっしゃったため、順番がします」と説した。
それだけで、待っているたちは事を受け止めた。
田さんは、私の方を見た。
「こうやって説してもらえると、待っている側もするのね」
「そうですね」
「は、理由を聞いただけで、をすなと言われた気がしていたの。今は、具が悪いときに伝えていいんだとえる」
診察を終えた田さんは、受付で次の予約を確認した。帰り、私たちは約束どおり喫茶に寄り、あんみつを頼んだ。
「主と来ていたときは、あんみつを半分ずつべたのよ。あのは甘いものが好きで、私の分までべようとするから、いつも最に取りいになって」
「仲のいいご夫婦だったんですね」
「そうね。いなくなってからは、病院へくのもつの用事になってしまった。でも、誰かと緒に帰りを歩くと、昔のこともいせるのね」
田さんは、黒蜜をかけた寒をべた。
私は、彼女が自分で診療所にけるようになったことをうれしくった。同に、誰かの隣に座ることにもがあるのだとじていた。