みかん小説
本棚

"高齢女性を後回しにした受付――絵を替える女性の正体" 第10話

待に残っていた声

院が受付の対応を確かめている、私は田さんから頼まれたことがあった。診療所に、これまで受付で困った経験を伝えておきたいという。

「私だけが嫌ないをしたとわれたくないの。でも、誰かを責めるために話したいわけじゃない。これから来るが同じ気持ちにならないように、私が困ったことを伝えておきたいの」

田さんはそう言い、に自分の経験をいた。診察券を探しているときに急かされたこと。番号の理由を尋ねたら「受付で決める」と言われたこと。その、薬が切れるを抱えたまま、受診を先延ばしにしたこと。だけでなく、いつ、どんな面だったかをいしながらいていた。

私はそのを田さんと緒に院へ渡した。院は、本の解を得たうえで、院内の対応確認に使うと約束した。

「お話しくださってありがとうございます。患者さんが受付で何をじたのか、私たちには見えていないことがあります。個の診療内容は守りながら、対応を見直す材料にします」

そのには、浦さんと千代さんもいた。院は、受付の記録を確認した結果を簡潔に説した。黒田さんが先に診察へ入ったのうち、護師への連絡が記録されていないが複数あった。受付が話で聞いた症状を医療スタッフに伝えず、診察の順番をかしていたことも分かったという。

広告

「ただ、記録がないからといって、そのに症状がなかったと決めつけることはできません。黒田さんからも話を聞き、受付側の説と照らしわせました」

院は言葉を選んでいた。黒田さんは悸をじることがあり、沼田さんに相談していた。疲れを取る注射を受けるもあった。方で、受付が医療スタッフを通さず、何度も順番を先にしたことは認めたそうだ。

「黒田さんは、沼田さんに頼めば先に診てもらえるとっていたそうです。自分もその扱いを当然のように受け入れていたことを反省していると話しました」

「それなら、黒田さんも患者さんとして、これからは通常の順で診てもらうんですね」

田さんが尋ねた。

「はい。体調の確認が必なときは、ほかの方と同じように護師が確認します。注射の希望は診察ので相談してもらいます」

千代さんは、壁の絵を見げた。

「昔から通っているも、初めて来たも、受付で同じように案内される。それが番できるといます」

田さんは、院にもうつお願いした。

「順番が変わるとき、詳しい病名まで話さなくていいんです。ただ、医療スタッフが確認したのか、急いで診る必があるのか、分かる範囲で教えてもらえるとします」

院はその希望をメモした。

「説できる範囲を理します。

待っている方の個報を守りながら、必なを与えない案内を考えます」

田さんが診療所をたあと、私は彼女のをいした。声をげることは、誰かを罰するためだけではない。自分がどこで困ったのかを伝え、次のが困らないようにすることでもあるのだ。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: