"高齢女性を後回しにした受付――絵を替える女性の正体" 第5話
付き添いの
通院の朝、私は田さんのへ迎えにった。
彼女はのカーディガンを着て、杖とさな鞄を用していた。鞄には診察券、薬帳、朝晩の血圧をいたが入っている。
「先に聞きたいことを、ここにいておいたの」
には、薬をむ、朝に血圧がいがあること、ふらつくことがあることが、丁寧な字でかれていた。
「これなら忘れずに聞けそうですね」
「だと、先ので緊張してしまって。にいておけば、し」
診療所の駐から入まではい距だったが、田さんは途で度ち止まった。杖を持ち替え、息をえる。
「急がなくて丈夫ですよ」
「ありがとう。最、歩くとし疲れやすいの」
受付には浦さんがいた。
「田さん、おはようございます。今は番です。静子さんは番ですね」
「浦さん、先につお願いしてもいいですか。田さんは々ふらつくそうです。もし待っているに具が悪くなったら、護師さんに様子を見てもらいたいんです」
「分かりました。田さん、気分が悪くなったり、いつもと違うじがしたりしたら、慮せず教えてくださいね」
田さんはしほっとした様子だった。
「ありがとうございます」
待では、野さんが聞を読んでいた。商でく豆腐を営んでいたで、今は息子夫婦にを任せている。
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「田さん、久しぶりだね。顔を見られてよかった」
「野さん、ご配をおかけしました」
「今は静子さんが緒だから、いね」
田さんは頷き、番号札を膝のに置いた。
壁には赤い実を描いた絵が掛かっていた。季節ごとに替わる絵だが、誰が掛け替えているのか私はらなかった。
黒田さんが入ってきたのは、それから数分だった。彼女は受付で沼田さんに声で話しかけた。
「今は胸がどきどきするの。いつもの注射もお願いしたいんだけど」
沼田さんは、黒田さんの診察券を受け取った。
「分かりました。こちらでお待ちください。先に話しておきます」
黒田さんは受付のくに座った。田さんの指が、膝のの番号札を押さえていた。
「また、あのが先に呼ばれるのかしら」
田さんは私にだけ聞こえる声で言った。
「今はまだ分かりません。気分が悪くなったら、すぐ浦さんに伝えましょう」
「そうね。今はちゃんと伝えてみる」
彼女は、帳の入った鞄を抱え直した。