"高齢女性を後回しにした受付――絵を替える女性の正体" 第1話
いつもの待
の朝、恵袋内科クリニックの待には、窓からいが差し込んでいた。
はついているのに、入の自ドアがくたび、の気が元を通り過ぎる。私は診察券を受付にし、浦さんから番号札を受け取った。
「静子さん、おはようございます。今はお薬だけでしたよね」
「ええ。血圧も落ち着いているので、いつもの薬をお願いしようとって」
「では、番でお待ちください」
浦さんは、相の顔を見てから番号札を渡すだった。私はそのさな気遣いが好きだった。
ここへ通い始めたのは、夫がまだ元気だった頃だ。先代の院は、こちらが話し終わるまで急かさずに聞いてくれた。夫は診察の帰り、先のことをよく褒めていた。
「医者に話を聞いてもらえるだけで、ずいぶんするんだな」
夫がそう言ったことを、今でも覚えている。
先代が引退し、息子さんが院になってからも、診療所の雰囲気はきく変わらなかった。受付の械がしくなり、診察の子が替わった。窓辺には相変わらず鉢植えが並び、壁の絵は季節ごとに掛け替えられていた。
その朝、私は待の隅に田さんを見つけた。番の番号札を膝に置き、杖を子の横にてかけている。
「田さん、おはようございます。今はいですね」
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「静子さん。薬を変えてから週ごとに来ることになったの。朝の血圧を測っていたら、しがかかっちゃって」
田さんは穏やかなだ。に迷惑をかけるのが苦で、診察でも「丈夫です」と先に言ってしまう。夫をくしてからは、買い物も通院もで続けていた。
「今はお顔のがしいようですけど、平気ですか」
「朝ごはんをべてきたから丈夫。ちょっと暑かっただけよ」
彼女は笑った。私はそれ以聞かなかった。
そのとき自ドアがき、黒田さんが入ってきた。きれいにえた髪に、いのブラウス。待を見回してから、受付へまっすぐ向かった。
「沼田さん、朝から胸がどきどきして、待っていられそうにないんです」
受付にいた沼田さんは、すぐに子からちがった。
「黒田さん、それはいけませんね。こちらでお待ちください。次にお呼びしますから」
黒田さんは受付のそばの子に移った。
田さんは、膝のの札を見てから、黒田さんの方を見た。
「具が悪いなら、先に診てもらうのがいいわね」
「そうですね」
私はそう答えた。具の悪いを先に診ることがあるのは当然だ。番号札は順番を示すものでも、診療所がひとりの状態を確かめることの方が事なのだろう。
黒田さんは、しばらくして診察へ呼ばれた。
帰りに受付へ「いつも助かります」と笑いかけ、軽い取りでていった。
田さんは、特に何も言わなかった。
そのの私は、まだ気づいていなかった。田さんがその、番号札を握りしめたまま、どんないで待っていたのかを。