"生活費を奪って消えた母、20年後の再会で私が頼んだもの" 第4話
カレンダーの数字と等分のプリン
翌朝から、がの活は音をてて変しました。
朝番でへった父は、通帳を見て言葉を失ったそうです。 母が持ちしたのは引きしの現だけでなく、普通預に入っていた残のほぼ全額でした。
賃と費の引き落としがかろうじてにったものの、次の料までの、元に残されたおは数千円らずでした。
父は台所の壁に、カレンダーの裏を破ったいをピンで留めました。 そこには、太い黒マジックできく数字がき込まれていました。
『料まで あと』
朝起きると、父はその数字を本の斜線で消し、しい数字をにき込みました。 『あと』『あと』。
その数字がひとつずつ減っていくのを、父は毎朝、祈るような目で見つめていました。
のの事は、を追うごとに目に見えて質素になっていきました。
朝は、たいと、半分にちぎったパン。 昼は、学でる。 そして夜は、お鍋の底に残ったいお噌汁と、お醤油をかけただけのご飯。
父はいつも、私におかずをめによそい、自分のお皿にはほんのししか乗せませんでした。 私が「お父さんもべて」と言うと、決まって同じ台をにしました。
「俺はいいんだよ。残業のに、会社の堂でパンをもらってべたからな」
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けれど、父のお腹が折、グウとさく鳴るのを私は聞き逃しませんでした。 父は自分の胃袋を削って、私にお米をべさせてくれていたのです。
学にいる、私はのが待ちしくてたまりませんでした。 コッペパン、シチュー、野菜のおかず。 友達がお腹いっぱいだと残したパンを、私は「持って帰ってもいい?」と聞いて、ビニール袋に包んでランドセルに隠しました。 夜、お腹を空かせている父にべさせてあげたかったのです。
あるの寒い夜のことでした。 計の針が夜のを回っても、父は帰ってきませんでした。
きりの居で、私は毛布にくるまりながら宿題をしていました。 気代がもったいないからと、はつけず、さな気スタンドのかりだけで寒さに耐えていました。
ガチャリ、と玄関のドアがいたのは、半を過ぎた頃でした。
「ただいま、美咲。……遅くなって悪かったな」
入ってきた父の顔は、寒さと疲労で気をしていました。 作業着の肩には、たいの雫がっていました。
けれど、父のには、所のスーパーのさなレジ袋が握られていました。
「これ、見てごらん」
父が袋から取りしたのは、本の牛乳と、斤のパン。 そして――黄いカスタードプリンがひとつでした。
「プリン……買ってきてくれたの?」
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「ああ。料まで、あとだろ? で頑張ったから、祝いだ」
父は誇らしげに胸を張って笑いました。 けれど、レジ袋のをのぞいても、父自のべ物は何も入っていませんでした。
「お父さん、緒にべよう」
「俺はいいよ。の男は甘いものなんてべないんだ」
父はそう言って笑いましたが、私はっていました。 母がいた頃、父は誕に私の残したショートケーキを、嬉しそうに美しそうにべていたのです。
私は台所へり、スプーンを本持ってきました。 そして、プッチンプリンの底のツマミを折り、お皿のにつるんと落としました。 プラスチックのスプーンで、プリンの真んにスッと筋を入れ、真っつに分けたのです。
「半分こしよう。お父さんがべないなら、私もべない」
私がじっと父の目を見つめると、父は瞬困ったように眉をげました。 それから、きなで私のをくしゃくしゃと撫でてくれました。
「……そうだな。半分こだな」
父はさなスプーンで、すくったプリンをに運びました。 「……うまいな。甘くて、うまいな」
父の声はかすかに震えていました。 え切った畳の片隅で、で分けってべたさなプリンのを、私は涯忘れることはありませんでした。