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"義母の老人ホーム代120万円を勝手に約束した夫" 第3話

膨らむ求と夫の甘え

の猛暑がを包んでいたある週末、翔太が仕事から帰るなり、刻な顔つきで私に切りしてきた。

「結、母さんのところの蔵庫が壊れたらしいんだ。使ってたやつで、コンプレッサーから異音がして完全にえなくなったって」

「なら、もう寿命ね。この暑さで蔵庫が使えないのは危ないわ」

「そうなんだよ。母さんだからさ、症や毒にでもなったら取り返しがつかないだろ。……悪いんだけど、しいの買ってあげられないかな? のボーナス、たばかりだし」

困っているのは事実だったし、活必需品だ。私は「いいよ、週末に見にきましょう」とつ返事で承諾した。

翌、で郊の型量販を訪れた。

私は暮らし用の、背のいドアタイプで万円のものを定していた。しかし、幸子さんが迷わずを止めたのは、売りの等に並んでいた、最鋭の百リットル超・型フレンチドア蔵庫のだった。

「見て、翔太! これ、野菜が真んにあって屈まなくていいのよ。凍も段になってて、お友達が来たにもたくさん作り置きが入るわ」

値札には、燦然と『万千円』の数字。

「お母さん、暮らしにはしきすぎませんか? 気代もかかりますし……」

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私がやんわりと指摘すると、幸子さんは眉をの字にして、すがるように翔太の腕にしがみついた。

「だって結さん、どうせ買うならく使えるいいものがいいじゃない。いものを買ってすぐ壊れたら、かえって損よ。ねえ、翔太?」

翔太は値札の額をちらりと見ただけで、何の躊躇もなく言った。

「いいんじゃないか? 毎使うものだし、母さんの腰の負担が減るならさ。結、これにしてやろうよ」

レジので、翔太が財布を取りす気配は微もなかった。

私は自分のクレジットカードを員に差しし、万千円を括で決済した。

「結ちゃん、本当にありがとう! こんな派な蔵庫、事にするわね!」

幸子さんは私の両をぎゅっと握りしめ、満面の笑みを浮かべた。そののぬくもりに、私は「親孝ができたんだ」と自分に言い聞かせ、しだけ誇らしい気持ちにすらなっていた。

だが、度いてしまった財布の紐は、度と締まることはなかった。

翌の、今度は「居のエアコンの効きが悪い」という話が持ちがった。

量販のチラシを見ながら「台なら万円くらいで買えるわね」と翔太と話していたはずだった。

ところが翌週、団を訪れると、幸子さんは寝の鴨居のを嬉しそうに指差したのだ。

「翔太から聞いたわよ。

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結ちゃんが、寝の分も緒にしくしてくれるんでしょ? 居だけ涼しくても、夜寝るに倒れたら変だからって」

私は息を呑み、隣の翔太を凝した。

翔太は線をわせようとせず、そっぽを向いてスマホをいじっている。

「……翔太、私、寝の分まですなんて言も言ってないけど」

元でく問い詰めると、翔太は気まずそうにを掻いた。

「いや……母さんがで寝てるに症になったら怖いだろ。せっかく業者呼ぶなら、台緒に事してもらった方がも省けるしさ。頼むよ、結のボーナスなら余裕あるだろ?」

結局、台分のエアコン代と設置事費で、計万円の請求が私のカードにんできた。

額のきさもさることながら、私の承諾を得るに、翔太が母親へ「結がしてくれる」と勝に約束を取り付けていた事実が、喉の奥に骨のように引っかかった。

「どうして私に相談するに、お母さんに言っちゃうの?」

帰り、内で問い質すと、翔太はへらへらと笑って私の肩を叩いた。

「母さんがとちりしただけだって。結果にんでくれたんだから、いいじゃないか。ケチケチするなよ」

とちり? 本当にそうだろうか。

平の事ち会いのため、休を取って団の台所で半待したのも私だった。業者が作業している、幸子さんはお茶の杯もすことなく、話で友に声で自していた。

「そうなのよ、息子夫婦がね、台も最のエアコンをつけてくれたの。やっぱり男の子を産んでおくと、いざというに頼りになるわねぇ!」

おを全額払い、休を削ってち会っているのは嫁の私なのに、世に誇るのは「優しい息子」の柄なのだ。

そして決定打となったのは、そのの、幸子さんの友たちとの旅だった。

同じ団にむ仲良しの戸塚さんたちで、泊の温泉ツアーへくのだという。費用は万円。

「暮らしので、私だけけないなんて恥ずかしくて所を歩けないわ。みんな『息子さんが何とかしてくれるでしょ』って言ってるのよ」

団の卓で、幸子さんはハンカチを目元に当ててみっともなくすすり泣いた。

その頃、私には学代からの親友で、旅会社に勤める川原霞(かすみ)と、に箱根の級温泉宿へく約束があった。毎お互いの仕事の都で延期になり、「今こそはこうね」と何ヶもから楽しみに計画していた旅だった。

「翔太、半分でいいから、今回はあなたがしてよ。私もに友達と旅の約束があるの」

自宅でそう懇願すると、翔太はソファーに寝転がったまま、鬱陶しそうに眉をひそめた。

「今は無理だよ。の検代と保険の更がなってカツカツなんだ。

母さんなんだから、たまの息抜きくらいさせてやれよ。結の旅は、また来に延ばせばいいだろ?」

結局、義母の旅代万円も、私の預から引き落とされた。

私は霞に話をかけ、「ごめん、急な費がなっちゃって……また今度にさせて」とをげた。

『結、あんたまた自分のこと回しにしたの? いい加減にしなよ』

親友の呆れたような、配そうな声に、私は胸を締め付けられながら笑いを返すことしかできなかった。

から帰ってきた幸子さんがくれたお産は、千歳空港で買った数百円のさなクッキーの箱つだけだった。

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