"義母の老人ホーム代120万円を勝手に約束した夫" 第2話
緑の通帳と便利の妻
婚活は、駅から歩いて分ほどの賃貸マンションで始まった。
部に広めのダイニングキッチンがついた部。契約者は翔太の名義だったが、万円の賃は、私の与振込座から引き落とされる形にした。
費や用品の買いしも私の担当で、翔太が受け持ったのは費と通信費、それから独代から乗っている自用の維持費だけだった。
私の収は約百万円。対する翔太は、事務器販売の営業で百万円ほど。
百万円い収入差があったけれど、当の私はそれを気にするどころか、「せる方がめにせばいい」と当たりのようにっていた。共働きの夫婦なのだから、稼ぎのい私が計の台骨を支え、翔太には無理のない範囲で負担してもらえばいい。そう信じて疑わなかったのだ。
私には、静岡の母から受け継いだ昔からの習慣があった。
それは「おを用途ごとに座を分けて管理する」ことだ。母は料になると、何枚もの茶封筒に『費』『お米代』『修繕費』とマジックでき、きっちり現を振り分けていた。社会になった私はそれを座で実践し、活費用の座、将来の蓄え用の座、緊急用の予備座と、通帳を冊使い分けていた。
「結って本当に几帳面だよな。
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員にでもなればよかったのに」
通帳を何冊も並べる私を見て、翔太はよく呑気に笑っていた。
最初のうち、翔太は絵に描いたような優しい夫だった。仕事で遅くなったは駅まで傘を持って迎えに来てくれたし、休みのにはのない会話で笑いっていた。
けれど、団の幸子さんから話がかかってくると、翔太の態度は目に見えて豹変した。
夕の最であっても、着信音が鳴れば箸を置き、そそくさとベランダへて話を始める。リビングに戻ってきた夫のからるのは、決まって私への「お願い」だった。
「結、悪いんだけどさ。母さんのの居の球が切れちゃったらしいんだ。来週の曜、買い替えにってやってくれないか?」
「球くらい、翔太が仕事帰りに寄って替えてあげればいいじゃない」
「俺、背はいけど先が器用だし、今週は得先との付きいが忙しくてさ。頼むよ、母さんで暗い部にいたらだろ」
母親をにしておくのは憫だ——その常套句をされると、私はどうしてもく拒むことができなかった。
週末、わざわざを乗り継いで団へ向かい、脚に乗って蛍灯を取り替える。インターネットのプロバイダ変更の類を代わりに記入し、粗ゴミの回収シールを買いにる。
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気がつけば、それらの雑用はすべて「私の役目」として定着していた。
幸子さんはソファーに座ってお茶をすすりながら、作業する私の背に向かって声をかける。
「やっぱり、お嫁さんが来てくれると助かるわぁ。男の子なんて気が利かないし、翔太にお願いしても全然いてくれないんだもの」
褒められているのか、都よく使いとして使われているのか、判然としない物言いだった。
あるの夜などは、夜を過ぎてから話が鳴った。
「テレビのリモコンが壊れたみたいで、画面が真っ暗でニュースが見られないのよ!」と半狂乱の義母。
「悪い、結。俺、さっきビール本んじゃったから運転できないんだ。して見にってやってくれないか?」
翔太は空になったビールの缶を振って見せ、申し訳なさそうな顔を作った。
私は溜め息をみ込み、コートを羽織ってのキーを握った。片分かけて団へ向かい、リモコンの裏蓋をけてみると、ただ単に乾池が切れていただけだった。予備の池に入れ替えると、テレビはあっけなく音量でワイドショーを映しした。
「あら、池だったの? 結ちゃん、わざわざご苦労様ね」
幸子さんはそう言ったきり、いお茶杯すらすことなく、「じゃあ私、もう寝るから。気消して帰ってね」
と寝の襖を閉めてしまった。
え切った夜のバイパスをで運転しながら、私はわず乾いた笑い声を漏らしていた。
りよりも先に、自分がまるで「無料で呼びせる便利な張便利」にでもなったような滑稽さがこみげてきたのだ。
けれど、結婚してまだ目。父親のいない義母を支えようとする夫をててあげたいという気持ちが、私の違を覆い隠していた。
本当の搾取が、額という具体な数字を伴ってを剥き始めたのは、そのの猛暑ののことだった。