"看護師を捨てた元彼、10年後に妹の名刺を踏みつけた" 第11話
拍ので語られた「恩返し」
志のみっともない逃劇を見届けたフードコートに、最初はさく、やがて波のようにきな拍が広がっていきました。
「お姉さん、丈夫でしたか?」 「ひどい男ですね、あんな暴言!」 くのテーブルにいた主婦の方や、さな子どもを連れたお父さんが、々に配の声をかけてくれました。
桃は落ち着き払った様子で名刺を数名の方にお渡しし、連絡先を控えて際よく証言の協力を取り付けていました。 その鮮やかすぎる腕に、私はただ呆然とち尽くすばかりでした。
「お姉ちゃん、こっか。あんな潔な男の残り、く振り払っちゃいたいしね」 桃は私の腕を優しく抱え、いつもの無邪気な妹の笑顔に戻って促してくれました。
モールをて、夕暮れのよいが吹き抜ける並をで並んで歩きました。 の空が赤からいへと溶けっていく、私はふと隣の桃を見げました。
「桃……本当にありがとう。でも、びっくりしちゃった。あんな偶然ってあるのね」 すると、桃は照れくさそうに笑いながら、し歩幅を緩めました。
「実はね、完全な偶然でもないのよ。あの会社が夫の事務所のクライアントだってことはってたから、お姉ちゃんから昔聞いてた元カレの名と致したとき、ずっとマークしてたの」
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「えっ……そうなの?」
「当たりじゃない。お姉ちゃんを散々都よく利用してポイ捨てした男よ? 法律として、妹として、野放しにしておくわけないでしょ」 桃はを見つめたまま、しだけ声をくして続けました。
「ねえ、お姉ちゃん。これでしは、私の恩返しになったかな?」 「恩返し……?」 私が聞き返すと、桃はち止まり、私の目を真っ直ぐに見つめました。
「私が学へって、司法試験に受かって弁護士になれたのはね……お姉ちゃんのおかげなのよ」 桃の瞳が、夕を浴びて潤んでいました。
「実には余裕がなかったでしょう? 本当はお姉ちゃんだって、にきたかったはずなのに、学費のい護学を選んで、国試験に受かってすぐに働きにてくれた。お姉ちゃんが仕送りして計を支えてくれたから、私はおの配をせずに勉に専できたの」 桃の言葉に、私は胸を突かれたようないでした。
確かに当、妹のを叶えさせてあげたいで、自分のを実利優先で選んだ記憶はありました。 けれど、そんなことを妹に恩着せがましく言ったことなど度もありませんでした。 キャンパスライフを謳する妹を、しだけ眩しく、羨ましくったがあったくらいです。
「お姉ちゃんは自分のことを回しにして、誰かのためにばっかりきてきた。
だから、あんなクズ男にまで尽くしちゃったんでしょう? そんなお姉ちゃんを馬鹿にする奴は、私が絶対に許さない。お姉ちゃんの尊厳は、私がかけて守るんだから」 妹の温かくてい言葉が、え切っていた私のの奥底をじんわりと溶かしていきました。
私は目を押さえ、何度も頷きました。 もう、過の傷に怯えて泣き寝入りする私ではありませんでした。