"看護師を捨てた元彼、10年後に妹の名刺を踏みつけた" 第9話
ポケットののレコーダーと「弁護士」
志は桃の元にあるさな黒い物体を見て、嘲るようにを鳴らしました。
「ああん? なんだよそれ。ボイスレコーダーか? そんなオモチャで俺を脅そうってのかよ。くだらねえ」
桃は無言のまま、親指で再ボタンをカチリと押し込みました。 スピーカーから、クリアな音質で志自の声が鮮に流れしました。
『汚いきつい料い、3K揃ったそんな仕事に固執してるから未だ独りなんだよ』 『き遅れババアになっちゃってさ、みじめだねぇ。ご愁傷様』 『事もろくにできない、見た目もダサい、仕事も誰にでもできる3K』
さっきまで志が気揚々と吐き散らしていた罵詈雑言が、言句違わずにフードコートに響き渡りました。 志の顔から、急速に血の気が引いていきました。
「それでは神崎社。こちらを決定な証拠として、民事裁判および刑事告訴の続きをめさせていただきますが、丈夫ですね?」
「は……? さ、裁判……? 告訴……!?」 志の声が裏返りました。
桃はにっこりと微笑み、首をかしげました。
「たまたま今のバッグに入っていたんですよ。 トイレから戻ってきたら、姉が見らぬ男性から執拗に絡まれていたものですから、わず録音ボタンを押してしまいました。 職業病というやつかしら」
「しょ、職業病……? あんた、何者なんだよ……!」
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志の震える問いかけに、桃は胸元から予備の名刺をもう枚取りし、志の目のにピッと突きつけました。
「私、企業法務を専とする弁護士なんです」
その言が落ちた瞬、志の膝がガクッと折れそうになりました。 志は慌てて元を見ろし、先ほど自分が靴底で踏みにじった名刺を、だらけので拾いげました。
そこには、国内トップクラスの規模を誇る法律事務所のロゴと、弁護士・桃の名がはっきりと印字されていました。
「べ、弁護士……!?」 志の額から、粒の脂汗がボタボタと滴り落ちました。
桃は腕を組み、徹な検事のような鋭い差しで告げました。
「刑法第百条『侮辱罪』、ならびに第百条『名誉毀損罪』。 特定数のがするこのフードコートという公然のにおいて、虚偽の事実を摘示し、姉の社会評価を著しくさせました。 証拠の音声データは完璧に確保いたしましたし、これだけ周囲に目撃者と証がいらっしゃいますから、言い逃れは切能です」
桃はくるりと周囲を見回し、集まっていたギャラリーたちに向かって優雅に礼しました。
「皆様、ほど警察および裁判所への証言にご協力いただける方は、ぜひお名乗りいただけますと幸いです。よろしくお願いいたします」
周囲の々から、「私も見てました!」「名刺踏みつけてましたよね!」「証言しますよ!」と、次々に賛同の声ががりました。 逃げを完全に塞がれた志は、青ざめた顔をダラダラとや汗で濡らしながら、わなわなと唇を震わせていました。