みかん小説
本棚

"看護師を捨てた元彼、10年後に妹の名刺を踏みつけた" 第7話

踏みにじられた名刺と産婦科の真実

音の正体は、桃ののひらでした。 桃は両をテーブルに叩きつけたまま、志の顔を至距からややかに見据えていました。

「そろそろ、その無駄を閉じていただけませんか? あなたの姉に対する言は、単なる失礼の域を越えて、完全に度を越しています」

志は瞬だけ気圧されたように目を丸くしましたが、すぐに持ちの尊な態度を取り繕いました。

「はぁ!? 事実を言って何が悪いんだよ! 事実を言われて悔しいからって、妹がてきて逆ギレか? みっともねえな!」

「事実……ですか」 桃は眉つかさず、静かに問い返しました。

「あなたが今仰った数々の侮辱は、すべて客観な事実に基づいていると、そう主張されるわけですね?」

「当たりだろ! だいたいおら、俺が誰だか分かって利いてんのか?」 志は勝ち誇ったように、内ポケットからピカのアルミ製名刺入れを取りしました。

チャラリと指輪をらせながら、乱暴に枚の名刺を弾きし、テーブルのへ放り投げてきました。 『株式会社ネクスト・イノベーション 代表取締役 神崎志』

「これでも見て、自分のの程をれよ。俺は企業とも取引してるIT企業の社だぞ」

「これはどうも、ご丁寧に」 桃は表を崩さず、自のバッグから真しい本革の名刺入れを取りしました。

広告

「せっかくですので、私の名刺もお納めください」

桃が丁寧に両で差しした名刺。 しかし、志はその文字に目を通すことすら拒絶しました。

「いらねえよ、般の名刺なんざ!」 志は払いのけるように桃の首を叩き、名刺はヒラヒラとに落ちました。 そして、志は革靴の靴底で、その名刺をグリグリと踏みにじったのです。

「ちょっと! 何するのよ!」 私がわずちがろうとした瞬、桃がスッと片をして私を制しました。

桃の線は、に踏みつけられた自分の名刺ではなく、テーブルのの志の名刺へと向けられていました。 その瞳に、得体のれない徹なが宿ったのを、私は見逃しませんでした。

「株式会社ネクスト・イノベーション……なるほど、よくじておりますよ」 桃は元に艶やかな笑みを浮かべ、首をかしげました。

「失礼ですが神崎社、奥様に何かいご病気でも見つかられたのですか?」

「……はぁ? 急に何言ってんだ? うちの妻は健康そのものだけど」

「あら、そうなんですか。では、あなたにくらいになるきな娘さんがいらっしゃるとか?」

「いるわけねえだろ! うちにはまだ子どもはいねえよ! 何が言いたいんだよ!」 志が苛ちを隠そうともせず、テーブルの脚をドカッと蹴りげました。

桃はわざとらしく溜息をつき、静かに首を横に振りました。

「おかしいですね。辻褄がまったくいませんわ」

「ああん!?」

「だって、先ほどあなたは『姉の仕事ぶりをこの目で見た事実』として語っていらっしゃいましたよね? うちの姉はここ数、学病院の『産婦科病棟』の専任護師として勤務しているんですよ」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: