"誕生日に姪を選んだ夫、3年後の再会で絶句" 第10話
イケメン医師の臨と剥がれる化けの皮
「え……?」
百と尾のから、同に抜けな声が漏れた。
の線は、勉くんの端正な顔ちと、その両腕にすっぽりと収まっているのらしい赤ちゃんに完全に釘付けになっていた。
勉くんはのことなど目に入っていないかのように、優しく微笑みながら私の隣にった。
「陽菜子、いつも妻がお世話になってます……って、おりいの方?」
「ううん、全然お世話になってないわ。ただの、昔のりいよ」
私がややかに答えると、勉くんは礼儀正しく、しかしどこか距を置いたトーンでをげた。
「初めまして。陽菜子の夫の、勉と申します。この子たちは、息子の空と、娘のです」
「は……? お、夫……!? こ、子供……!?」
尾が目を剥きしにし、顎がれそうなほどをけて直した。
百に至っては、顔面がピキピキと引きつり、言葉にならない呻き声を漏らしている。
「う、嘘でしょ……!? だって陽菜ちゃん、妊のはずじゃ……! なんでこんなイケメンと結婚してんのよ!? しかも双子……!?」
「妊なんて、私は度も言った覚えはないわよ」
私はちがり、勉くんの腕から娘のを優しく受け取って抱きげた。
「の結婚の、病院で検査を受けたけれど、私の体には何の問題もなかったもの。再婚してダメ元で妊活を始めたら、あっというに自然妊娠で双子を授かったのよ」
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「なっ……!?」
尾の顔から、サーッと血の気が引いていくのが分かった。
妊を理由にして私を責めて、浮気を正当化して切り捨てた元夫。その男の目ので、私がの男性とのに元気な双子を抱いているという現実。それは、尾のちっぽけな男のプライドを根底から砕する撃だった。
そこへ、勉くんがキッズスペースに預けていた乗りのベビーカーを押して戻ってきた。
「お待たせ。空もも、たくさんミルクんだからそろそろお昼寝のだね」
の赤ちゃんを慣れたつきでベビーカーのシートに寝かせる勉くん。その無駄のないスマートなのこなしと、父親としてのい慈に満ちた仕に、百の瞳のがギラリと変化した。
かつて、だった尾がイケメンに変したのを見た瞬と同じ——獲物を狙う雌豹のような、醜悪な略奪欲のだった。
百は慌てて髪をかきげ、胸元をぐっとに突きすと、目遣いで勉くんに向かって媚びるような笑顔を作った。
「は、初めましてー! 勉さんって言うんですね♪ 私、百って言います! 陽菜ちゃんの姪なんですけど、私にも子供がいてぇ……同世代同士、仲良くしてくれたら嬉しいなっています!」
猫撫で声で擦り寄る百。
横につ尾と、髪に染められた百の娘が、その骨な態度にドン引きして固まっている。
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しかし、百は自分の夫や娘の線などにも介さず、さらに図々しくを乗りしてきた。
「ねえ、せっかくだから親戚同士、緒にご飯べましょうよ! 勉さん、お仕事は何されてるんですかぁ? こんなにかっこいいんだから、モデルさんとか?」
「医師です」
勉くんはの籠もっていない、くたい声で答えた。
「ええっ!? お医者様!? やっばーい! イケメンでドクターなんて、マジで最じゃないですか!」
歓声をげ、あからさまに尾を見すような目を向けながら、百は勉くんのの腕へとを伸ばそうとした。
「私、勉さんと個にすっごく仲良くなりたいなー♪ いろいろ相談に乗ってほしいし——」
百のいスカルプネイルが勉くんの腕に触れようとした、その刹。
パシィンッ!
乾いた、気の良い音がフードコートの喧騒を切り裂いた。
「……きゃっ!?」
勉くんが、百のを容赦なく払いのけたのだ。
氷のように酷な差しが、見ろすように百を射抜いていた。
「……触らないでいただけますか。非常に愉です」
異性に拒絶されたことなど度もなかったのだろう、百は払われた自分のを呆然と見つめたまま、凍りついていた。
勉くんは胸ポケットから、仕事でいつも用している細いフレームの医療用鏡を取りして装着すると、ハンカチで元を覆い、静かに宣告した。
「俺は、あなたのことをよくっていますよ。『神百』さん」
その言に、百の顔が、赤から気に気へと変わった。