"誕生日に姪を選んだ夫、3年後の再会で絶句" 第9話
黄昏の略奪者とれなシンデレラ
「……っ」
喉の奥が引きつり、声がなかった。
度と私のに交わることはないとっていた、過の霊たち。
目のにつ百は、歳になったはずだったが、昔のような洗練された透はどこにもなかった。ブリーチを繰り返して傷んだ髪を乱雑に巻き、塗りされたファンデーションがの脇でひび割れている。元には型落ちのブランドバッグをぶらげ、どこか活の滲みたっぽい派さに染まっていた。
そして、その隣にいる元夫の尾の姿に、私は度目の絶句をした。
かつて結婚式のに爽やかなイケメンへと変貌を遂げたはずの男は、見るもなく変わり果てていた。
顎のラインは完全にあごへと埋没し、だらしなく突きた太鼓腹が物のポロシャツを押しげている。無精髭をやし、髪は脂ぎって頂部がくなり始めていた。エリートサラリーマンの面など微もない、ただの疲れ果てた冴えない男の姿がそこにあった。
「うわ、やっぱり陽菜ちゃんだ! 相変わらずな着てるねー!」
百はニヤニヤと悪な笑みを浮かべ、私の全をからへと値踏みした。
尾もまた、でせせら笑いながらをいた。
「おいおい、なんかより老け込んだんじゃないか? 肌もボロボロだし、すっかり売れ残りのババアだな」
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公衆の面で、悪気もなく元妻を嘲笑う。
けれど、今の私には、のように怯えて震えるはこれっぽっちも残っていなかった。
「……何かご用ですか?」
私が極めてややかに問い返すと、百は当然のように私の座っているテーブルを指差した。
「ねえ、その席譲ってくれない? 見ての通り、フードコート満席で座るところないのよ」
「断ります。私が先に確保した席ですから」
「はあ!? ちょっと、妊の独女には分からないだろうけどさ、子連れでウロウロするのって超変なんだからね! はってべればいいでしょ! おいで、シンデレラちゃん♪」
百がろを招きすると、ベビーカーのから、ひょこっとさな女の子がみてきた。
歳くらいだろうか。フリルのついた派なピンクのドレスを着ていたが、その髪を見て、私はわず目を見張った。
まだ幼い子供の細い髪が、根元から毛先まで、自然なほどるいに脱されていたのだ。
「……その子の髪、まさか染めてるの?」
私の驚愕の声に、百は誇らしげに胸を張った。
「当たりじゃん! うちの子の名は『シンデレラ』よ? 髪じゃないシンデレラなんて偽物だし、プリンセスに見えないでしょ? 超絶美でしょ、うちの娘!」
まだ歳の子供に、劇薬にいブリーチ剤を使って髪を染めげ、漫画のキャラクターのようなキラキラネームをつけて悦に入っている母親。
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女の子の表はどこか虚ろで、親の顔を怯えるように伺っていた。
絶句する私を見て、百はさらに悪趣な笑みを浮かべ、ベビーカーのサンシェードをバッとねげた。
「あ、そうだ! 子供の産めないな陽菜おばさんに、の子も見せてあげるね! こっちはヶの『アリエル』ちゃんよ♪」
ベビーカーのシートには、まだ首も据わっていないようなさな乳児が、音量のフードコートのでぐったりと眠らされていた。
尾が腕を組み、勝ち誇ったようにを鳴らした。
「いだろ? おにはに入らなかった、本物の族だ。おに子供ができなかったのは、女としての欠陥だったんだよ。妬むなよな?」
「そうよー! この子化の代に、子供をも産んでる私の方が社会に偉いの! さっさと席を譲りなさいよ!」
ギャンギャンと喚き散らす百の顔無恥さに、周囲の客たちが眉をひそめてこちらを見ている。
私はく息を吸い込み、凛としてを見据えた。
「嫌です。席は譲りません。私にも、連れがいますから」
「はあ!? 連れって誰よ! どうせな独友達でしょ——」
百がヒステリックに叫びかけた、そのだった。
「お待たせ、陽菜子。席、取っておいてくれてありがとう」
背から響いた、く澄み渡るようなよいテノールの声。
振り返るとそこには、の腕にそれぞれ抱っこ紐で赤ちゃんを抱えた、抜群のスタイルを誇るイケメン——私の夫である勉くんが、穏やかな笑顔でっていた。