"誕生日に姪を選んだ夫、3年後の再会で絶句" 第7話
なる痛みと穏やかなプロポーズ
「くん……!?」
わず声が裏返ってしまった。
私の記憶のにある代の勉は、いつも教の隅で分い理系の参考をいていた、ひどく無で目たないだった。付きいが苦で、クラスメイトともほとんど群れず、放課の図で静かに当番をこなしていた姿しかいせない。
唯、同じく物静かだった私とは波がい、図のカウンターで着図の受け入れ作業をしながら、ポツリポツリと言葉を交わしたことがあった。
その彼が、目のにっている。
かつての面を残しながらも、洗練されたの男性へと見事に垢抜けていた。尾のような作り物の華やかさではなく、内面から滲みるような品格と、の余裕が全から漂っている。
「すごい偶然だな。こんなところで会えるなんてわなかったよ」
勉くんは嬉しそうに言い、ストレッチマットの横に腰をろした。
そのをきっかけに、私たちはジムの帰りに駅のカフェでコーヒーをむようになり、自然な流れで連絡先を交換した。
話を聞けば、彼は卒業に国学の医学部へ学し、現は総病院に勤務する産婦科医として忙しい々を送っているのだという。体力を維持するために、休のを縫ってこのジムへ通っていたらしい。
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「織田さんは、ずっと本に勤めてるとってたよ。本が本当に好きだったから」
カフェのテーブル越しに、勉くんが温かい差しで尋ねてきた。
私はカップの縁を見つめ、し躊躇いながらも、ポツリと自分ののを打ちけた。
「……実は、まで結婚してたの。でも、いろいろあって……婚して、こっちのへ引っ越してきたんだ」
妊を理由に夫から遇されたこと。その夫を、がっていた姪に奪われたこと。そして、姪が夫の子供を妊娠したことで、誕当に婚届を突きつけられ、つで放りされたこと。
誰にも言えずに胸の底に閉じ込めていた獄のような々の記憶を、私は震える声で告した。話しているうちに、自然と涙が溢れし、テーブルのにポタポタと落ちた。
に話せば「そんな男、く別れて正解だよ」と軽々しく言われるか、あるいはたい過に引かれるかのどちらかだとっていた。
けれど、勉くんは違った。
彼は机のに置かれた私の震えるに、そっと自分の温かいをね、静かに私の話にを傾けてくれた。その瞳には、いしみと、理尽に対する真摯な憤りが宿っていた。
「……辛かったね。よくで、ここまで耐えてきたよ」
その言が、私の凍りついていたを優しく溶かしてくれた。
さらに驚いたことに、勉くんもまた、バツイチのだったのだ。
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「俺の元妻はね……見栄っ張りで、派な活ばかりを好むだったんだ。医師の妻という肩きとおだけが目当てで、浮気を繰り返されてさ。最は俺の貯を勝に使って別の男と逃げていったよ。もう、信になりそうだった」
似たようない裏切りを経験し、に同じ痛みを抱えていたからこそ、私たちは言葉以にく通じうことができた。
お互いに決して相を傷つけず、穏やかで嘘のないを切にする。
週末に緒に自炊をして美しいご飯をべ、静かに読をし、散歩をする。そんな々の積みねので、私たちはごく自然に惹かれい、交際へと発展していった。
付きい始めてが経った私の歳の誕の夜、勉くんは静かなレストランで、私に真っ直ぐなプロポーズの言葉をくれた。
「織田さん……いや、陽菜子さん。俺と、これからのを緒に歩んでくれませんか」
私は胸がいっぱいになりながらも、ずっと抱えていた最のを打ちけた。
「勉くん……私、の結婚で子供ができなかったの。検査では異常がなかったけれど、もう歳だし、あなたに子供を産んであげられないかもしれない。それでも……いいの?」
すると勉くんは、しも迷うことなく、からの優しい笑顔で私の目を覗き込んだ。
「子供がいるかどうかが、夫婦の幸せの条件じゃないよ。
俺が緒にいたいのは、子供を産んでくれる女性じゃなくて、陽菜子さんなんだ。きりのでも、俺は分に幸せだよ」
その言葉を聞いた瞬、私の目から粒の涙が零れ落ちた。
条件付きのではなく、私というそのものを丸ごと受け止めてくれるが、この世界にいたのだ。
私たちは入籍し、沿いのさなチャペルで、きりの静かなフォトウェディングを挙げた。
過の傷跡が、ようやく温かいで包まれた瞬だった。