"誕生日に姪を選んだ夫、3年後の再会で絶句" 第4話
誕の宣告と緑の
歳の誕の夕方、私のスマートフォンに珍しく尾からメッセージが入った。
『今の夜、駅の喫茶で話がある。に来てくれ』
半以もなどしていなかった夫からの突然の呼びしに、私の胸は微かに鳴った。
もしかして、私の誕を覚えていてくれたのだろうか。これまでのたい態度を反省して、やり直そうと言ってくれるのではないか。
淡い期待を抱きながら、私は久しぶりに丁寧にファンデーションを塗り、控えめなアクセサリーを選んでに付けた。
指定された駅の純喫茶の扉をけ、カランコロンとベルを鳴らして内を見渡した。
奥のボックス席に、スーツ姿の尾の姿が見えた。ほっとして駆け寄ろうとした私のが、コンクリートのようにに縫い止められた。
尾の隣に、ぴったりと肩を寄せい、腕を組んで座っていたのは——満面の笑みを浮かべた百だった。
「……え?」
私の喉から、掠れた声が漏れた。
を引きずるようにしてテーブルのにつと、尾は気まずそうに目を逸らすこともなく、え切った瞳で私を見げた。
「座れよ」
「尾さん……これ、どういうこと……? 今、私の誕……」
私の言葉を遮るように、尾はテーブルのに置いたアイスコーヒーのグラスを指先で弄びながら、平然と言い放った。
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「すまない。俺、運命のを見つけたんだ。だから、おと別れたい」
目のがぐらりと揺れた。から血の気が気に引き、喫茶のクラシック音楽がくの雑音のように霞んでいく。
「運命の……? 何言ってるの……? 嘘でしょ……?」
すると、尾の腕に抱きついていた百が、形の良い唇を緩めて甘ったるい声をげた。
「ごめんね、陽菜ちゃん。でも仕方ないじゃない? 私たち、惹かれっちゃったんだもん。ねー、尾くん♪」
「ああ。俺たち、本気なんだ」
見つめい、目も憚らずに微笑みう。
その信じがたい景をにして、私の全の毛穴からや汗が吹きし、りで指先が刻みに震え始めた。
「ふざけないでよ……! 百、あなた自分の叔母の夫にをして、何考えてるの!? 尾さんも、親戚の子と倫なんて、許されるとってるの!?」
私の震える糾弾に、尾は眉つかさなかった。それどころか、底鬱陶しそうにため息をついた。
「おが許すかどうかは関係ないよ。俺のはもう、百にしかないんだから。それに——」
尾はテーブルのから、百のを優しく握りしめた。
「百のお腹には、俺の子供がいるんだ」
「……は?」
が止まった。
息を吸うことすらできず、私はただ目を見いて、百のお腹を凝した。
百は勝ち誇ったような、嘲笑を浮かべながら、まだ平らなお腹をおしそうに撫でてみせた。
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「言ったでしょ、運命だって。陽菜ちゃんが何頑張ってもできなかったのに、私、発で授かっちゃったの。やっぱり、若さの差かしらね? ふふっ」
「……っ!」
の芯を太い杭で殴られたような衝撃だった。
私が毎、基礎体温を測り、祈るように検査薬を見つめ、病院に通ってまで欲しかったするとの子供。
それが、私の夫を奪った姪の腹のに宿っているという現実。
「嘘よ……だってあなた、仕事が忙しくて帰れないって……張だって言ってたじゃない……!」
「仕事って言わなきゃ、おがうるさく詮索するだろ」
尾はゴミを見るような徹な目で私を見ろした。
「だいたい、全部おが悪いんだよ。どこも悪くないのに病院にけけってしつこく迫って、夫婦のをまるで業務連絡みたいにしやがって。事だって抜きばかりで、俺を男として見てくれなかった。俺に男としての自信を取り戻させてくれたのは、百なんだよ」
「私は……あなたとの子供が欲しかったから……!」
「子供ができない女とこれ以緒にいても、俺のの無駄遣いなんだよ」
尾は鞄から枚のを取りし、テーブルのに叩きつけた。
緑の枠線が印刷された——すでに尾の署名と捺印が済まされた『婚届』だった。