"認知症の父を「逮捕しろ」と叫ぶ姑――孫の一言で形勢逆転" 第2話
姑の酷な言葉と隣からの話
そんな私の張り詰めたに、容赦なくで踏み込んできたのが夫の母――姑のトミ子でした。
葬儀の片付けに追われ、寝るもなくいていた私の顔を見るなり、姑は吐き捨てるように言ったのです。 「亭主をくしたっていうのに、よくもまあそんな平気な顔をしていられるもんかねえ」
姑は周囲の親戚に聞こえよがしに、わざとらしくきなため息をつきました。 「涙ひとつこぼさないなんて、本当にな嫁だよ。あの子もこんなたい女を嫁にもらって、浮かばれないよ」
結婚当初から「事な男を奪った棒猫」と私を目の敵にしていた姑でした。 けれど、最の伴侶を突然失った妻に向かって、吐いていい言葉ではありません。
そもそも姑自はどうだったというのでしょう。 数に義父がくなったとき、まだ喪がけてもいない期に「今さらキャンセルなんてできないからね」と平然と言い放ち、温泉旅へかけたでした。
(憎まれっ子世に憚る、とはまさにこののことだわ……) りを通り越して背筋がたくなるのをじながら、私はただ黙ってをげて耐え忍びました。
夫のの法をなんとか終え、私は活のために所のスーパーのパートへと復帰しました。 朝から夕方までレジ打ちと品しに追われ、帰宅すれば休むもなく夕飯の支度と洗濯。
広告
ともに限界を迎えつつあったあるの夕暮れ、私のスマートフォンが鳴りました。
画面に表示されたのは、実の向かいにむ「妙子(たえこ)おばちゃん」の名でした。 母がくなってから暮らしを続けている実父の様子を、いつも気にかけて見守ってくれている優しい隣でした。
「もしもし、佳苗ちゃん? 良彦さんのこと、本当に変だったわね……」 受話器から聞こえる温かな声に、張り詰めていた肩の力がしだけ抜けました。
「おばちゃん、いつも父がお世話になっていてすみません。なんとかパートも復帰して頑張っています」 「そう、無理しちゃダメよ。……それでね、佳苗ちゃん。実はちょっと、お父さんのことで話があるの」
おばちゃんの声のトーンが、に段くなりました。 その微かな変化に、私の臓がドキンと嫌な音をてました。
「え……? 父が、何かあったんですか……?」 今度は父までいなくなってしまうのではないかという恐怖が、瞬にして脳裏をよぎりました。
受話器を握る指先が張る私を察したのか、おばちゃんはすぐにいつものるい調を取り繕いました。 「あ、したことじゃないのよ! 佳苗ちゃんも忙しいだろうけど、たまにはお父さんの顔を見に帰ってあげてね。ついでに私のでお茶でもんでいってちょうだい」
したことない、とおばちゃんは笑っていました。 けれど、胸騒ぎに苛まれた私は、その夜ほとんどもすることができませんでした。