"「一緒に暮らそう」親切な男性に質問すると、顔色が変わった" 第3話
買い物袋を持ってくれた
佐藤さんは歳で、千鶴のから自転で分ほどのアパートにんでいるという。妻をにくしてから、ずっと暮らしをしているらしい。
千鶴が佐藤さんと初めて会ったのは、所のスーパーだった。買い物を終えて、米や醤油を詰めた袋を両に提げ、駐輪へ向かっていただった。
「そうですね。よかったら持ちますよ」
そう声をかけられたという。
千鶴は、最初は慮したそうだ。見ずらずのに荷物を持ってもらうのは気が引ける。けれど、佐藤さんは「までの方向が同じだから」と言い、袋をひとつ持ってくれた。
「本当にかったから、助かったの。帰りも話が弾んでね。佐藤さんは奥さんをくしてから、で暮らしているんですって」
千鶴は、私のに湯呑みを置きながら話を続けた。
「それから、帰りで会うたびに荷物を持ってくれるの。回目のには、私が度だけ話したかぼちゃの煮物のことまで覚えていてくれたのよ」
「かぼちゃの煮物が好きだって話?」
「そう。『千鶴さん、かぼちゃがお好きでしたよね』って。たった度言っただけなのに」
千鶴は湯呑みを両で包んだ。誰かに覚えていてもらうことが、こんなにうれしいとはわなかった、と彼女は言った。
「このになると、族以に名を呼ばれることも減るでしょう。
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買い物のに、そうですねって声をかけてもらっただけなのに、なんだか胸があったかくなったの」
私は頷いた。誰かが自分のことを気に留めてくれる。それは、齢に関係なくうれしいことだとう。
「佐藤さんは料理が苦なんですって。毎、スーパーのお弁当だと言っていたわ。奥さんがくなってから、ずっとそうしてきたらしいの」
「もで?」
「ええ。私も夫をくしてでしょう。で話していると、同じような気持ちが分かるのよ」
千鶴は、夫がくなってから、誰かのためにご飯を作ることがなくなったと話した。息子が帰省するに何品か作ることはあるが、毎の事は自分分だ。鍋いっぱいに煮物を作っても、べ切るのに何もかかる。
「誰かと緒にべるご飯って、もうずいぶんいことしてないわね」
その言葉を聞いて、私は夕に千鶴を誘った。
「今は緒にべていきませんか? したものはないけれど、ならしはおいしくじるでしょう」
千鶴は、ほっとしたように笑った。
「ありがとう。佐藤さんのこと、誰かに話したくてたまらなかったの。聞いてもらえてうれしい」
その夜、私は簡単な煮魚と野菜のお浸しを用した。千鶴は「でべると、卓が広くじないわね」と笑った。私は、彼女の笑顔が戻ったことをうれしくった。
けれど、そのはまだ、佐藤さんの親切の先に何があるのか、私にも分からなかった。