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"母が泊まらない理由" 第12話

息子の見栄、母の優しさ

「父さんがくなってから、ずっと暮らしだろう」 直は伏し目がちに、消え入りそうな声で呟きました。

「何かあったらって、どうしても気になっちゃうんだよ。 俺、学をて就職して、父さんが倒れたときも京で自分の活にかまけてたからさ…… 結局、母さんに何もしてやれなかったなって、ずっと悔してたんだ」

胸の奥底にしまい込んでいたの負い目が、言葉となってこぼれ落ちていきました。

かず子は驚いたように目を見張り、それから柔らかく目を細めました。 「あんたがちゃんとちして、元気で暮らしてくれているだけで、私にとっては分だったのよ」

「……それにさ」 直はを掻き、自嘲気に苦笑いを浮かべました。

「を買ったら、母さんの部くらい作ってやるのが息子の甲斐性だって、会社でも同僚に自しちゃってたんだよな」

「まあ、見栄まで張ったの?」 かず子は呆れたように笑い、パチンとを叩きました。

「それは自分の力でなんとかしなさいよ。私は頼んでないんだからね」

母のあっけらかんとした物言いに、直の張っていた肩の力がふっと抜けました。 親孝をしたいという純粋な気持ちの裏に、自分の見栄や罪悪を埋めわせたいというエゴがあったことを、直は嫌というほど自覚させられていました。

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「気持ちは本当に嬉しかったよ、直。それは本当」 かず子は優しく微笑み、真剣な差しで直を見つめました。

「でもね、あの部は、咲さんが使ったらいいじゃないの」

「え……?」 「卓のに、仕事の具がたくさん置いてあったでしょう。 パソコンも、そうなファイルも、毎片付けてるって言ってたじゃないの」

直は咲の顔をい浮かべ、言葉を失いました。

「あの子、あんたに慮してるんじゃないのかね」 母のその言が、直の胸の最も痛い部分を正確に射抜きました。

「このは、直と咲さんののでしょう。 が番暮らしやすいようにするのが、何よりも先なのよ」

壁の計が分を告げました。 かず子はちがり、おかけ用のカーディガンを羽織り始めました。 直はい体を引きずるようにして、ちがりました。

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