みかん小説
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"母が泊まらない理由" 第9話

揺られて向かった先

翌週の曜、直はで郊へ向かう速に揺られていました。 咲には「しかけてくる」とだけ告げてをていました。

母が実を放して、今でになります。 父がくなった、維持費がかさむ古い戸建てを処分し、母は駅にい築ほどの賃貸アパートへ移りんでいました。

直がそのアパートを訪れるのは、の正以来のことでした。 のの旅は、直に様々な考えを巡らせるを与えました。

(母さんは、狭いアパートでで寂しく暮らしているはずだ) (本当は広い戸建てで、族と緒に過ごしたいに決まっている) (それなのに泊まらないのは、やっぱり咲に慮しているからに違いない)

直ののには、そんな独りよがりの図式が組みがっていました。

目の駅にりつと、たいれの空が広がっていました。 駅から徒歩分ほどの宅に建つ、階建てのモルタルアパート。 直は階段をがり、〇号のチャイムを押しました。

ピンポーンと、懐かしいチャイムの音が鳴りました。 から慌ただしい音がづいてきて、ドアがガチャリときました。

「はい、どちらさま……あら、直?」 エプロン姿の母が、丸く見いた目で直を見つめました。

「連絡もなしに、どうしたの? 咲さんは?」

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「咲はで仕事。……ちょっと、くまで用事があったからさ」

直がごもりながら言うと、かず子は吹きしました。 「くって、あんた、からここまでかかるでしょうに。 まあいいわ、ち話も何だからがりなさい」

案内された畳のは、直の記憶にある景とし違っていました。 部の央には用のさなこたつが置かれ、そのには湯呑みがつ並んでいました。

壁際にはさなテレビと、文庫本がぎっしり詰まったさなカラーボックス。 当たりのいい窓辺には、入れのき届いた鉢植えがいくつも並び、青々とした葉を広げていました。

部は決して広くはありませんでしたが、どこを見ても埃ひとつなく、母の暮らしの匂いがよく満ちていました。 直が勝に像していた「寂しく孤独な暮らし」のは、部のどこにも見当たらなかったのです。

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