"母が泊まらない理由" 第3話
ダイニングテーブルのノートパソコン
引っ越しからかが経ち、居での活はしずつ落ち着きを見せていました。
宅設備の卸売会社で営業として働く直は、毎忙しく現や取引先を駆け回っていました。 回りのリフォームや最のシステムキッチンを提案する仕事柄、自宅の設備にも自然とこだわりが詰まっていました。
方、咲の毎は、直の像以にさなストレスの連続でした。 咲はIT関連の企業でデータ管理の仕事をしており、平の半を自宅のパソコンに向かって過ごしていました。
朝の、勤する直を見送ると、咲はリビングのダイニングテーブルにノートパソコンを広げます。 源コードを元から引き、マウスを置き、分い業務用のファイルを冊並べます。
カチャカチャとキーボードを叩き、顧客からの問いわせメールに返信し、画面に並ぶ膨な数字と睨みう々でした。 になると作業を度断し、広げていた類を揃えて箱に入れ、パソコンを画面の隅へ寄せます。 分の簡単な昼を作り、テーブルを拭いてから事をとるのです。
そしてべ終わると器を洗い、再び類とパソコンをテーブルの央に広げ直します。 夕方の半、仕事を終えるとまた同じ作業が繰り返されます。
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類をまとめ、パソコンを畳み、棚ののプラスチックケースにすべて押し込んでから、直の帰宅にわせて夕の準備を始めるのです。
「ただいま。今も寒かったな」 夜の過ぎ、直がドアをけて帰ってくると、テーブルのにはすでに湯気をてる噌汁とおかずが並んでいました。
直はを洗い、綺麗に片付けられたテーブルについて美しそうにご飯をべます。 それが、咲の毎のさなのに成りっていることなど、直はこれっぽっちも気づいていませんでした。
「母さん、来の曜空いてる? も片付いたし、遊びにおいでよ」 ある夜、のリビングで直が母に話をかけていました。
受話器の向こうから、母の弾んだ声が聞こえてきます。 『あら、きたいわねえ。台所も見せてよ。直が選んだんでしょう?』
「泊まれる部も作ったからさ。枕もいいやつを買ったよ」 直が得げに胸を張ると、母はそうな声を返してきました。
『枕? 私、昔からそば殻じゃないと首が痛くなるの、ってるでしょ?』 「えっ……反発の、すごく評判がいいやつを買ったんだけどな」
『じゃあ、あんたが使いなさいよ』 『母さん用に買ったんだけど……』 『もう、何のために買ったのよ』
話でのやり取りは笑い話のようでしたが、結局、母が泊まるかどうかだけは、最まで曖昧なまま話が切れました。
それでも直は、「来れば絶対に泊まりたくなるはずだ」と信じて疑いませんでした。
話を終えた直のろで、咲は棚のの類箱をじっと見つめていました。 階の向きの部には、昼の陽がたっぷりと注ぎ込み、今は誰もいない空をただ静かにめているだけでした。