みかん小説
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"母が泊まらない理由" 第2話

戸建てのと向きの部

直と咲が結婚して、今で目を迎えていました。

これまでは駅にい賃貸マンションで暮らしていました。 賃は額万千円。 交通の便がよく、くにスーパーも商もあり、共働きのにとっては満のない環境でした。

ところが、世のの勢が変わり、咲の勤務先で宅勤務が本格に導入されたことから、しずつ暮らしに歪みがじ始めました。 取りはDK。 静かに集して仕事ができる独した部がなく、咲は毎のように狭さをじるようになっていたのです。

「ここ、向きで静かだね。机と本棚を置いたら、すごく仕事が捗りそう」 古の戸建てを見学した、咲は階のるいで窓のを眺めながら、楽しそうに笑っていました。

当たりがよく、よいが吹き抜ける畳でした。 目のには遮る建物がなく、宅の穏やかな景が広がっています。

「本当にいい部だな。……でもさ、ここは客にしてもいいかな。母さんが来たのために」 直がぽつりと言った瞬、咲の表にかすかな戸惑いがよぎりました。

「お義母さん、そんなに来るかな? ここからなら帰りもできる距だし……」 咲の控えめな言葉に、直は首を横に振りました。

「往復でかかるんだよ。もう歳だし、たまに来たくらいゆっくり泊まっていってほしいじゃないか」

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直の父が病気でくなってから、の歳が流れていました。 母のかず子は、でほどれた郊ので、ずっと暮らしを続けていました。

直が学を卒業して就職するまで、パートの仕事を掛け持ちしながら女つで計を支えてくれた母でした。 父が倒れたときも、直はすでに京で働いており、々の病のほとんどを母に背負わせてしまったという負い目がありました。

(今度は、自分が何かしてやりたい) (自分の稼ぎでを買ったんだから、母さんに親孝がしたい) そのいが、直の胸の奥底にく根を張っていたのです。

は相談の末、築の戸建てを購入することに決めました。 宅ローンの返済は、々およそ万円。 以の賃貸マンションの賃より万千円ほどくなりますが、共働きを続ければ無理なく返済できる計算でした。

引っ越し当、空っぽの部を見渡しながら、咲が壁のコンセントを指差しました。 「ここのコンセント、パソコンの机を置くのにちょうどいいね」

「うん。でも、まずは母さんの布団だな。仕事はしばらくリビングでもできるだろ?」 直が何気なく返すと、咲はさく息を呑みました。

「できるけど……事のたびにパソコンや類を片付けるの、結構面倒なんだよね」

「悪いな。引っ越しが完全に落ち着いたら、また考えよう」

直はそう言って笑い、それ以く考えようとはしませんでした。 咲もまた、姑が訪ねてきたときには気持ちよく迎えたいという気持ちは同じだったため、それ以は何も言いませんでした。

こうして、誰にも使われない「母のための客」が、居の特等席にぽっかりと誕したのです。

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