みかん小説
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"戸籍の中のもう一人の妻" 第1話

区役所のモニターと見らぬ名

その、横浜にはに入って初めてのたいがっていました。

関内駅から歩いてきた私の首には、ね返った滴と気が芯まで染み込んでいました。 傘をすぼめて区役所の自ドアをくぐり、番窓の製ベンチに腰をろしました。

本当なら、こんな所に来る予定はありませんでした。 夫の健太は半にイギリス・マンチェスター支社へ張し、末まで帰国が延びると言っていました。 その夫の会社から「赴任の配偶者同」を急に提するよう督促され、妻である私が代理で戸籍謄本を取りに来ざるを得なかったのです。

「番の受付票をお持ちの方、奥の窓へどうぞ」

呼ばれて向かった窓には、細かいパーマをあてたベテランの女性職員が座っていました。 老鏡の奥の目を細め、私が差しした分証と委任状をめくっていきます。

カタカタと軽にキーボードを叩いていた職員の指先が、ふと止まりました。

「……あの、誰の続きをなさっているの?」 顔をげた職員の目が、私をじっと見つめました。

「夫の健太です。本は現イギリスにおりまして、私が妻の結です」 私が告げると、職員は何かを言い淀むように唇を結びました。

同というよりは、あまりにも修羅を見慣れすぎてが麻痺してしまったような、奇妙に平坦な差しでした。

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職員はカチリとマウスをクリックすると、液晶モニターの角度を半分ほど私の方へと向けました。

「ご自分で、画面を確かめてみてくださる?」

促されるまま、私はを乗りして戸籍報システムの画面を覗き込みました。 夫である健太の氏名の、配偶者の欄。

そこに印字されていたのは、文字の全く見らぬ名でした。

『 真理』

私ののは、りよりも先にい困惑で満たされました。 役所のシステムエラーではないか、同姓同名の別と取り違えているのではないか。 そうにそうとしましたが、喉の奥で言葉が引っかかりました。

私の脳が、をかすよりもくつの徹な事実を弾きしていたからです。

第に、官公庁の基幹システムが戸籍の氏名を取り違える確率など、文学にいこと。 第に――『渡辺真理』という名を、私はかつて健太のスマホで見たことがあったことでした。

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