"義妹の荷物40箱を拒否したら、夫の勝手な約束が発覚" 第3話
私の所、階の畳
「私が断れないと見越して、わざと黙っていたのね」
私の静かな問いかけに、夫は話の向こうで舌打ちをしました。
『げさに言うなよ! 美奈子は今、自分のおを軌に乗せようと必に頑張ってるんだぞ! 業したばかりで利益もないし、倉庫を借りるなんてないんだ。 せっかく仕入れた商品を全部送り返されたら、あいつの商売がちかなくなるだろうが!』
夫は自分の誠実さを棚にげ、妹のな事ばかりを並べてました。
「美奈子さんがおを頑張っているのはっているわ。 だからこそ、さな段ボール箱を、個預かるくらいなら、私だって協力するつもりだったのよ」
『だったら、今回も同じように助けてやりゃあいいじゃないか!』 夫は苛ちをわにして声を荒らげました。
『ただ荷物を置いておくだけだろうが! 減るもんじゃあるまいし!』
「あなた、実際に見ていないからそんな簡単なことが言えるのよ。両で抱えるような巨な箱が、個もあったのよ」
『数はくたって、箱に入った用雑貨なんだから腐るもんじゃないだろう!』
「そんな量の箱を、体こののどこに置くつもりだったのよ」
私の当然の疑問に、夫はさも名案をいついたかのような、傲な声で答えました。
『階に空いている部があるじゃないか』
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臓をたいで鷲掴みにされたような衝撃が、私の胸を突き抜けました。
「空いている部って……どこのこと?」
『遥が昔使っていた部だよ。あそこなら畳あるんだから、箱くらい余裕で入るだろうが』
目のが真っ暗になるような覚でした。 夫が言っているのは、階段をがって突き当たりにある、向きの畳ののことでした。
たしかに、娘の遥が独してをてから、しばらくのは誰も使っていませんでした。 けれど、半ほど、私はその部を自分の居所としてえたばかりだったのです。
「あの部は、空いている部じゃないわ」 私は震えそうになる声を必に抑え込みました。
「今は、私が毎切に使っている部よ。机も本棚も置いてあるし、裁縫の具だって広げてあるじゃない」
『そんなもん、部の隅にでも寄せておきゃあいいだろうが!』 夫は私の言葉を、ゴミでも払うかのように軽々しく切り捨てました。
『どうせしたもん置いてねえだろ。昼にちょっと本を読むくらいなら、階のリビングでやりゃあ済む話だ!』
夫のから吐き捨てられたその言葉が、鋭い刃物のように私の胸をくえぐりました。
私が半にさな製の机を選び、本棚を組みて、カーテンを縫い直した姿を、夫も違いなく毎見ていたはずでした。
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それなのに、夫の目には、私が以かけてようやくに入れた切な所が、「何もない空き部」としか映っていなかったのです。
子育てをしていた、私にはのに自分の居所などありませんでした。 読が好きでも、読みかけの本はいつも棚の隅に片付けなければなりませんでした。 好きな刺繍やパッチワークも、族の事のたびに卓から慌てて片付けていました。
作りかけの布を広げたままにしておける、自分だけの机。 娘の遥が独するとき、「お母さん、私の部を好きなように使ってね」と笑顔で譲ってくれたからこそ、ようやくに入った、私ののささやかな余だったのです。
それを、「したものは置いていない」「リビングでやればいい」と、の荷物を押し込むために踏みにじろうとする夫。
『とにかく! おが勝に送り返したせいで、美奈子が困り果ててるんだぞ!』 私の沈黙を、言い負かしたと勘違いしたのか、夫は勝ち誇ったように命じてきました。
『今すぐ配送会社に話して、荷物をもう度持ってこさせろ! 違いでしたって美奈子にも謝っておくんだな!』
自分の非を認めるどころか、私に嘘をつかせて妹にをげさせようとする夫。 私のので、何かが音をててたく凍りついていきました。
「配送会社に連絡もしないし、美奈子さんに謝るつもりもありません」 私は背筋をピンと伸ばし、凛とした声で告げました。
『なんだと!? お、兄である俺のメンツを潰す気か!』
「私が引き受けた覚えのない荷物を、正当に断って、どうして私が謝らなければならないの?」
『俺がおがにいるから丈夫だとって……!』
「私に言の確認も取らず、勝に部を貸すと約束したのは、あなたでしょう」
『……チッ、いい加減にしろ! もうすぐ昼休みが終わる! 続きは帰ってからだ!』
都が悪くなると、夫はいつもこうして逃げします。 ガチャリと方に通話が切れ、静まり返ったリビングにツーツーと無質な子音が響きました。
私はく息を吐きし、階へと続く階段をゆっくりとがっていきました。
向きの畳。 ドアをけると、レースのカーテン越しに、柔らかなの陽射しが部いっぱいに広がっていました。
壁際には、私が選んださな机とい本棚。 机のには、読みかけの文庫本と、作りの裁縫箱がきちんと並んでいます。
もしあの箱を受け入れていたら、この景は瞬にして押し潰され、井くまで積まれた段ボールの壁に埋もれていたはずでした。
「空いている部なんて……どこにもないわ」 私は誰もいない部で、静かに呟きました。