"毎朝「出ていけ」と怒鳴る隣人、測量の日に顔色が変わった" 第7話
類箱の底
封筒は、糊で閉じられたままだった。表には祖父の字で「ゴンダさんの件」とだけかれている。私は机に置き、しばらく眺めた。
これが、沼さんたちののことに関係する類なのだろうか。けていいのか、し迷った。けれど、のことを確かめるために必かもしれない。私は封筒の端をゆっくりけた。
には、数枚のが入っていた。最初の枚は、の部を貸す約束をいた確認だった。古いは黄ばんでいたが、文字は読めた。
「ゴンダに、このの部を貸す。賃料は受け取らない。ただし、この貸し借りはゴンダの父親代限りとする。代が変わったは、を返すか、改めて話しうものとする」
最には、祖父と勝夫さんの父親の名があり、それぞれの判が押されていた。
私は何度も読み返した。おを取らずに貸していた。けれど、勝夫さんの父親がくなったは、を返すか、改めて話しう約束だった。その父親がくなったのは、だと聞いている。
「そういう約束があったのね……」
私は、祖父がどうしてこのことを私たちに話さなかったのか考えた。隣同士、い付きいだったから、あえてきな問題にしたくなかったのかもしれない。父も封筒をけなかったのだろう。祖父の気持ちをそのままにしておいたのかもしれない。
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翌朝、私は類を持って、とめさんのを訪ねた。
「これが、類箱に入っていました」
とめさんは確認を読み、眉をげた。
「約束は、勝夫さんのお父さん代限りだね」
「はい。お父様がくなったは、を返すか、改めて話しうといてあります」
「それなら、今のがどこまで建っているか、ちゃんと確認しないとね。勝夫さんにも見てもらおう」
そのの午、私はとめさんと緒にゴンダさんのを訪ねた。玄関には、勝夫さんと沼さんが並んでてきた。
「勝夫さん、沼さん。父の類箱から、こちらがてきました。ゴンダさんのお父様と祖父が交わした確認です。読んでいただけますか」
勝夫さんはを受け取った。最初は何気ない顔をしていたが、目を読むと、指がさく震えた。
「親父の字だ……。違いない。これは親父の字だ」
「そんな切れ、今さら何よ」
沼さんが横から言った。
「おじいさんの代の話でしょう。私たちには関係ないわ」
「関係ないなら、を返してもらわないとな」
とめさんが言った。勝夫さんはを持ったまま、目を伏せた。
「俺は何も聞いていなかった。本当に、何も」
「お父さんがくなったのは、ですよね」
私が尋ねると、勝夫さんはさく頷いた。
約束がいつまでだったのか、類にははっきりかれていた。けれど、これからどうするかは、当事者同士で決めなければならない。
私は、勝夫さんを責めたいわけではなかった。約束をらなかったのなら、話しえばいい。だからこそ、まずは事実を確かめることにした。