"毎朝「出ていけ」と怒鳴る隣人、測量の日に顔色が変わった" 第4話
夫婦の頼み
「しず子さん、ちょっといいか」
勝夫さんはのにったまま、落ち着かない様子で庭を見ていた。私は玄関をけ、へがるよう勧めたが、彼は「ここでいい。すぐ済む話だから」と首を振った。
「内のことで話があるんだ」
「沼さんのことですか?」
「まあ、そうだな。あいつは度言いすと聞かないんだ。俺が何を言っても、余計にるだけでな」
勝夫さんは、私の目を見ずに話した。沼さんが毎朝、私に引っ越せと言っていることもっているらしい。だが、妻を止めるつもりはないようだった。
「寄りに、このは広すぎるだろう。掃除も変だろうし、何かあっても誰も気づかない。あんたが引っ越したら、毎朝の騒ぎも終わる。お互いのためだとうんだ」
私は、すぐには返事をしなかった。勝夫さんは「悪くわないでくれ」と付けしたが、彼の言葉は、沼さんが言うことを私が聞けば丸く収まる、という話だった。
「勝夫さん。お父様には、祖父も父もずいぶんお世話になりました」
「そうか。昔のことだな」
「私はこのでまれて、ここで夫を見送りました。引っ越しは考えておりません」
勝夫さんは、ため息をついた。
「そうか。ならしてくれ。俺にはあいつを止められん。言っておくが、俺だって、あんたがてってくれた方が助かるんだ」
その言葉を聞いた、私は勝夫さんの顔を見た。
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昔は、穏やかなだとっていた。父と緒に庭先で話している姿も覚えている。けれど、今は目のにいるが、私の記憶のの勝夫さんと同じなのか、分からなくなった。
「勝夫さんまで、私にてけとおっしゃるんですね」
「そういう言い方をするつもりはなかった」
「でも、おっしゃったことはそういうでしょう」
勝夫さんは何も答えず、のへていった。私はその背を見送ったあと、居の机に座り、ノートをいた。付と刻をき、勝夫さんの言葉もできるだけ正確に記した。
その週の終わり、とめさんが煮物を持ってきた。玄関にがってもらい、お茶をすと、とめさんはし迷ったで話し始めた。
「しず子ちゃん、私ね、このとを売って、施設に入ることにしたよ」
「とめさん、急にどうしてですか?」
「急じゃないさ。この、台所で転んでね。しばらく起きがれなかったんだよ。あのに決めたの。まだ自分でけるうちに、自分の始末をつけようとってね」
私は寂しかったが、とめさんの決めたことを止める理由はなかった。
「を売るには、境界をはっきりさせる必があるんだって。しず子ちゃんののとも、裏のゴンダさんのとも角で接してるから、ちってもらえないかい」
「もちろんです。私でお役にてるなら」
「隣のゴンダさんにもちってもらうよ。あのたちが何を言っても、測るに任せればいいからね」
私は頷いた。の境界を確かめるだけのことだとっていた。その測量が、く続いていた所との関係を変えることになるとは、まだ像もしていなかった。