"毎朝「出ていけ」と怒鳴る隣人、測量の日に顔色が変わった" 第3話
塀の向こうの
とめさんは、私が柿の葉を拾い終えるまで、塀越しに話し相になってくれた。
「沼さんは、いつからあんなふうに?」
「ずっとからだよ。気に入らないを見つけると、何かしら言わないと気が済まないんだ。は私。今はしず子ちゃんの番ってことさ」
「私、何かした覚えがないんです」
「覚えがないなら、してないんだろうよ。あのは理由を探してってるんじゃない。る相を探してるんだ」
とめさんの言葉は、私にはしくじられた。けれど、そのの午、沼さんが勝から顔をして「また葉っぱが落ちてる」と言った、私は初めて、言い返すのをやめてのへ戻った。
沼さんは、私が何も答えないのを見ると、さらに声を張りげた。
「聞こえてるの?無する気?」
私は玄関を閉めた。胸がどきどきしていた。言い返したわけでも、謝ったわけでもない。ただ、そのかられただけなのに、がし震えていた。
その晩、私はノートに来事をいた。沼さんが言った言葉だけでなく、自分が何をしていたかも記した。柿の葉は庭で拾った。塀のにはしていない。洗濯物は裏庭に干した。ゴミ袋は指定の朝にした。そんなことまでく必があるのかとったが、から振り返るには、事実を残しておく方がいいとった。
数、とめさんが袋を抱えて訪ねてきた。
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「しず子ちゃん、ちょっと相談があるんだよ」
「どうぞ。お茶を入れますね」
「いや、すぐ済むから玄関でいいよ。実はね、の片付けをしてたら、押し入れから古い類がほどてきてさ。の図面だの、昔の約束だの、何に使うのか分からないばっかりで」
「とめさんのお宅も、古い類が残っているんですね」
「うちだけじゃないよ。しず子ちゃんのも、おじいさんの代からのだろう?押し入れの奥に、類箱があるんじゃないかい」
私は、父が使っていたの箱をいした。押し入れのいちばん奥にしまったまま、父がくなってから度もけていない。箱のには、の修繕の記録や、に関するが入っていると聞いたことがある。
「あります。でも、何が入っているかは分かりません」
「古いってのはね、いざというに役につことがあるんだよ。元気なうちに見ておきな」
「そうですね。今度、探してみます」
そのは、沼さんのことと類箱が結びつくとはっていなかった。とめさんも、まだ何もらないようだった。ただ、の片付けをしていたらてきたの話を、私に教えてくれただけだ。
その週の終わり、勝夫さんがで玄関にった。