"父の葬儀中「飯を作れ」と怒鳴った夫に、参列者が…" 第9話
病の便箋との真実
健はそののうちに柄を拘束され、裁判所から私への接禁止命令が発令された。
その夜、父のの話が鳴った。
義母のかず子からだった。受話器を取るなり、泣き叫ぶような切り声が響いた。
『美穂さん! 健が警察に捕まったのよ! 夫を警察に売り渡すなんて、それでもなの!? 今すぐ取りげなさい!』
「健さんは警察の警告を破って私の職へ押しかけ、職の同僚に暴力を振るいました。自業自得です」
『それはあなたが逃げ回るからでしょ! 健はただ、夫婦で話しいたいだけだったのよ!』
その、受話器の向こうでガタリときな物音がし、荒々しく話を奪い取る音がした。
『……美穂さんかい。正男だ』
義父の声だった。
『かず子、おは黙っていろ!』
『ちょっとあなた、何するのよ!』
『黙れと言っているんだ!』
いつも温で控えめだった義父の、聞いたこともないような声が響いた。義母が息を呑んで絶句する気配が伝わってくる。
『……美穂さん。わしはあの、清先のご葬儀の席にいたんだ』
義父の声は、激しく震えていた。
『健が話で何を言ったか、わしのこので全部聞いた。「のジジイ、んだら終わりだ」と……会に響き渡っていたよ。参列されていた先の教え子の方々が、わしの顔を見て「あれが暴言を吐いた男の父親か」
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と痛ましそうに見ていた。わしはあので、恥ずかしさでんでしまいたかった』
『あ、あなた……葬儀にったの……?』
義母の呆然とした声が漏れる。
『息子があんな恥らずな怪物に育ったのは、おが何でもかんでも甘やかし、自分の見栄のために夫をてろと嫁をいびり続けたからだ! そして、それを止められなかったわし自の罪だ! ……美穂さん、本当にすまなかった。もう、あいつのことは背負わなくていい。あいつのしたことの始末は、あいつ自に取らせる』
義父はそう言い残し、静かに話を切った。
、庭を支配してきた義母の傲さが、内の元から音をてて崩れった瞬だった。
そして、父のの法のがやってきた。
実の居で、親戚数名と森本さん夫婦を招いて静かに経をげてもらった、約束通り田社がで訪ねてくださった。
仏壇のでいをわせていた田社は、皆が引き取った、鞄のから通のやや分いい封筒を取りした。
「美穂さん。……これが、清先からお預かりしていたです」
表には、父の端正な毛で『田誠様』とかれていた。
消印の付は、父がくなる。点滴の管を引きずりながら、父がで病院のポストへ投函しにっただった。
「先がくなるに、私の会社に届きました。
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私宛のと、が過ぎるまで美穂さんには内緒にしておいてほしいという、もう通のが入っていました」
田社に促され、私は震える指で便箋をいた。
そこには、々しく震えながらも、文字ずつ魂を込めてかれた父の文字が並んでいた。
『田君、突然の無礼を許してください。君にしか頼めないことがあり、を執りました。 私の娘の美穂は、今、幸せではないといます。 娘は、助けてと言えない子です。母親をくにくし、私に配をかけまいとして、いつも笑顔を作って育ちました。それは、私の育て方のたったつの過ちでした。 先、野菜を届けにった、娘の首が痛ましいほど細くなっているのを見ました。財布のに、千円札が枚しか入っていないのを見てしまいました。 娘の夫の佐藤君は、君の会社に勤めていると聞いています。誤解しないでほしい。君の会社の仕事にをしてほしいわけではありません。それは君が決めるべきことです。 ただ、つだけお願いがあります。 もし私の葬儀の席で、娘がきりで、誰にも守られずにをげているようなことがあったら……どうか、その子のろにってやってくれないでしょうか。 あの子のろに誰かでもいてくれたら、あの子はきっと、自分のでを向くことができます。
は支えってきている。君に教えたこの言葉を、最に君に頼る勝を、どうか許してください』
便箋を濡らす粒の涙で、文字が滲んで読めなくなった。
父は、すべてっていたのだ。
私が無理して作った作り笑いも、夫の支配に怯えて痩せ細っていた首も、すべて見抜いたで、私を責めることなく、自らの命が尽きる最の瞬に、私を守るための盾を用してくれていたのだ。
田社が、目を押さえながら静かに言った。
「学の、誰も方のいなかった私のろに、先がってくださいました。だからあの、私は美穂さんのろにちました。先への恩返しは、まだ始まったばかりです」
田社は、もう通のさな封筒を私に渡した。
表には、ただ言。『美穂へ』とだけかれていた。