"父の葬儀中「飯を作れ」と怒鳴った夫に、参列者が…" 第6話
暴かれた裏と朝の断罪
葬儀の翌朝、午。
田精の本社ビル最階にある役員会議には、苦しい空気が淀んでいた。
円卓の奥には田社と事部が並んで腰掛け、その正面には、ネクタイを曲げた佐藤健が青ざめた顔でっていた。目のにはくっきりと隈が浮かび、指先が落ち着きなくスーツのスラックスを擦っている。
「座りなさい、佐藤君」
田社の声は、昨の式と同じように、氷のようにくえ切っていた。
健はぎこちなく子を引き、浅く腰掛けると、すかさず両を膝に置いてをげた。
「社、昨は……その、本当に申し訳ありませんでした! 妻の実のこととはいえ、私なが昂ってしまい、話であのような適切な言葉を……く反省しております!」
で弁解をまくしてる健に対し、田社は表を切かさなかった。
「、か。君は恩師の葬儀の最に、喪主を務める妻へ回も着信を入れ、を無して飯を作りに戻れと鳴り散らした。それが『になった』の言で片づくとっているのかね」
「そ、それは……! ですが社、あれはあくまで庭内の問題です! 夫婦の揉め事を理由に、も貢献してきた社員を解雇するなんて、労働法も認められないはずです!」
健は必に法律の識を盾にしていがろうとした。
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プライベートの失言だけで会社をクビにできるはずがない、とを括っていたのだ。
しかし、田社の隣に座っていた事部が、音をてて冊の分いファイルをテーブルの央へと滑らせた。
「佐藤さん。昨夜、社からの指示を受け、あなたの過分の経費精算類をすべて精査させていただきました」
その言葉を聞いた瞬、健の喉仏がごくりときくした。
「駅の級クラブでの代、会議費としての請求が過で回。総額にして百万円です」
事部は淡々と、枚のプリントアウトを指先で叩いた。
「利用されていたは、そのすべてが曜の夜でした。同席者として記載されていた取引先の担当者様数名に、今朝番で確認を取りましたが、どなたも『曜の夜に佐藤さんと会った覚えはない』とおっしゃっていますよ」
「な……っ!」
「さらに、領収の宛名はいずれも『田精様』、但しきは『会議費』。取引先との公式な打ちわせの記録も、報への記載も切しません。業務と無関係な私な遊興費を、虚偽の申請によって会社に支払わせていた……な業務横領です」
健の顔から、完全に血の気が引いていった。
「ち、違います! あれは……営業活の環で、非公式な報交換を……!」
「曜の午に、ホステスを交えてどんな報交換をするのかね?」
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田社の鋭い線が、健の嘘を真っ向から撃ち抜いた。
「佐藤君。私は昨まで、君の営業成績の数字しか見ていなかった。だが、恩師の葬儀をあそこまで平然と踏みにじるが、仕事において誠実であるはずがないと直したのだ。案の定、会社のにまでを染めていたとはな」
田社はペンを取り、あらかじめ用されていた類にサインをらせた。
「本付で懲戒解雇とする。退職は規定により切支しない。また、正に受した百万円については、会社として全額の返還を求める。期までに括で返還されないは、刑事告訴に踏み切る」
「社! お待ちください! 頼みます、それだけは勘弁してください!」
健は子から転げ落ちるようにへ膝をつき、額を絨毯に擦りつけた。
「のローンもあるんです! 百万なんて、すぐに払えません! を入れ替えますから、格でも減でも何でも受け入れますから……!」
昨、話で父を『のジジイ』と罵り、『んだら終わりだ』と言い放った同じ男が、今はをいずり回って命乞いをしている。
田社はちがり、見ろすようにややかに言い放った。
「君は昨、何と言ったかね。『んだら終わりだ』と言ったな。……君の会社員としてのも、昨で完全に終わったんだよ。
昼までに私物をまとめて、度と敷居を跨ぐな」
会議の扉がき、警備員が入ってきた。
健は両脇を抱えられるようにして引きずりされ、会社の廊に並ぶ同僚たちのえ切った線の、段ボール箱つを抱えて放りされたのだった。