"父の葬儀中「飯を作れ」と怒鳴った夫に、参列者が…" 第5話
恩師の将とのノート
通話を終えた田社は、私に向き直ると、周囲の参列者にも聞こえるようにく、くをげられた。
「美穂さん、本当に申し訳ありませんでした。が社の社員が、あろうことか清先の最のお別れのを、このような形で汚してしまった。会社を預かる者として、よりお詫び申しげます」
「や、田社……をげてください! 社が謝られるようなことではありません……!」
私が慌てて取り乱すと、田社はゆっくりと顔をげ、その目元を赤く潤ませていた。
「先の机の引きしに、訃報をらせてほしいの名簿があったそうですね。その番に私の名をいてくださっていたと、美穂さんからお話をいただいた、私は胸が詰まりました」
田社は、祭壇のの父の遺を真っ直ぐに見つめた。
「私が学の、酷いいじめに遭い、毎のようにぬことばかり考えていました。学にもにも居所がなかった私を、放課の教に引き留め、黙って毎将を指してくださったのが清先でした」
その言葉を聞いた瞬、私の脳裏にが落ちたような衝撃がった。
(田君……! あの、お父さんが毎嬉しそうに話していた、賀状の田君……!?)
『この子はね、学のに酷いいじめに遭っていたんだ。
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毎放課に将を指したよ。その田君が今じゃ会社の社さんだ。は支えってきてるんだよ』
父の誇らしげな笑顔と、あの皺だらけのがいされ、私の目から粒の涙がボロボロとこぼれ落ちた。
「先が教えてくださったんです。『は支えってきている。おが苦しいは、誰かを頼っていいんだ』と。……その先の切なお嬢さんが、よりによって私の会社の社員に苦しめられていたなんて、到底見過ごすことはできません」
参列者の方々からも、静かなすすり泣きと、く頷く気配が広がった。
親族席から、健の父である正男さんがちがり、震える取りでみてきた。
歳になる義父は、田社と私ので、に膝をつかんばかりにくをげた。
「社さん……美穂さん……本当に、申し訳ございません。息子の健があんな浅ましいに育ってしまったのは、すべて私たち親の育て方の責任です。清先の御霊ので、こんな恥ずかしい真似を……」
「お父さん、をげてください」
私がすがりつくように義父の腕を支えると、義父の皺だらけの目から涙が零れ落ちた。
田社は名刺入れから枚の名刺を取りし、両で私に差ししてくださった。
「美穂さん。何か困ったことがあれば、いつでも私に連絡をください。
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清先に返せなかったご恩を、今こそ先のご族にお返しさせてください」
その、厳かに告別式が再され、父はたくさんのに包まれて荼毘に付された。
そのの夜、私はぶりに、父のの居できりの夜を過ごしていた。
健の待つ自宅へ戻る気には、どうしてもなれなかった。
仏壇には母の写真と、しく置かれた父の写真。の穏やかな笑顔を見げながら、私は畳のに座り込み、持ってきた袋のからあるものを取りした。
冊の学ノート。
結婚した翌から、健に命じられて毎晩欠かさず円単位で記録させられてきた、分の計簿だった。
ページをめくると、私の几帳面な字で、毎の買い物のレシートが貼り付けられ、パート代の万円が健に回収された記録がびっしりと並んでいた。
そして、番最のページ。
何か、健の着のポケットから見つけた、級クラブの領収のメモ。
『田精様 会議費 万千円 曜』 『田精様 会議費 万円 曜』
数字をわせるのが仕事だった私の癖で、わずき留めてしまっていた記録だった。
(曜の夜に、級クラブで会議なんてあるはずがない……)
そのは怖くて誰にも言えなかったその数字のメモが、、健の運命を決定づける巨な引きになるとは、このの私はまだる由もなかった。