"結婚23年目、35万円を渡した妻が持ち帰ったもの" 第7話
の返事
は母親に返事をくことにした。便箋を広げ、何度もきしを考えていた。
「何をけばいいのかしら」
「ったことをけばいいんじゃないか」
「ったことって、いざくとなると難しいのよ」
は笑ったが、ペン先はなかなかかなかった。私は隣に座り、アルバムの写真を枚ずつ見ていた。幼いが、母親のを握っている写真がある。父親はしれたところで、照れたような顔をしていた。
「父さんも、母さんに会いたいと言っていたんだな」
「そういてあったわね」
「俺は、葬儀のにおがで帰ったことを、仕方ないとっていた。仕事があったからって、自分に言い聞かせていたんだ」
はペンを置いた。
「あなたのせいじゃないわ。私も、あなたに来てほしいと言えなかった」
「でも、言えないってことに気づけなかった」
「今こうして話せているから、もういいの」
はそう言ったが、私はそれで済ませたくなかった。彼女の母親がにいたように、言わずにいた気持ちは、消えるわけではない。これから何度も話し、しずつ確かめていけばいい。
は、便箋にき始めた。
「お母さんへ。をありがとう。私も、帰りたいとっていました。でも、帰っていいのか分からなくなっていました」
いて、彼女はを止めた。
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しばらくして、続きに「お父さんのことを、もっと話したかった」といた。
私は何も言わず、そばにいた。き終えた便箋を封筒に入れ、切を貼ると、はそれを両で持った。
「、してくるわ」
翌、私は勤に郵便局まで緒に歩いた。はポストのでしち止まった。封筒を投函すると、をポストのからし、肩の力を抜いた。
「届くのが楽しみね」
「きっとぶよ」
に戻るで、は母親の話を続けた。母親は若い頃、の共同作業で噌を作っていたこと。になると、でが閉ざされることもあったこと。父親が、のためにでさな子を作ったこと。
私は何度か質問をした。はし驚いたあと、嬉しそうに答えてくれた。
以の私は、彼女が話し終えるに結論を急いでいた。「そうか」「変だったな」「よかったな」と返して、それで話を閉じていた。今は、話の続きを聞くようになった。
に着くと、は台所へ向かった。私はろから声をかけた。
「今夜は俺が噌汁を作るよ」
「あなたが?」
「作り方くらい教えてくれ。母さんの噌もあるんだろ」
は笑って、鍋をした。噌の量を教わりながら作った噌汁は、しかった。それでもは、「悪くないわ」と言ってくれた。
卓で向かいい、で噌汁をんだ。母親から返事が届くまでのも、の故郷の話は続いた。