"結婚23年目、35万円を渡した妻が持ち帰ったもの" 第4話
母からの
「、あなたが結婚してから、私は何度も帰ってきてほしいとっていました。でも、あなたがしいで幸せに暮らしているなら、邪魔をしてはいけないと考えていました」
母親のは、そう始まっていた。
「本当は、あなたが帰らなかったことを寂しくっていました。でもそれ以に、帰りたいと言えないほどしているのではないかと、ずっと配していました」
私はゆっくり読みめた。は隣で、膝のに両をねている。顔は伏せたままだった。
には、の父親がくなるのこともかれていた。父親は娘に会いたがっていた。けれど、結婚した娘の庭に迷惑をかけてはいけないとい、話をしなかったという。
「お父さんがくなる、あなたに会いたいと言っていました。でも、あなたの庭に迷惑をかけたくないと、最まで話をしませんでした。あの、私はあなたに帰ってきてほしいと言えばよかった。ごめんなさい」
私はを持つ指に力が入るのをじた。
が父親の葬儀に帰ったのは、結婚してもない頃だった。その、私は仕事を休めず、葬儀にはけなかった。は「丈夫だから」と言って、で帰った。
私はその言葉に甘えていた。彼女がでしみを抱えたことを、当の私はく考えなかった。
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には、続きがあった。
「あなたが送ってくれたも、子どもの写真も、全部切に取ってあります。あなたが元気でいてくれることが、私の番の幸せです。今度帰ってきたら、昔の着物とアルバムを持っていってください。あなたがさかった頃のことを、緒に話したいです」
読み終わった、私は言葉を失っていた。
は顔を伏せたまま、ぽつりと言った。
「母はね、私が帰ると伝えたら、ずっと泣いていたの」
「そうだったのか」
「私も、帰りたいとったことは何度もあったの。でも、あなたに言えなかった。おのこともあったし、のこともあったし……帰っていいのか、自分でも分からなくなっていたの」
私は、封筒の横に置かれたアルバムをいた。川辺で笑う幼い。父親の隣で、のついたを見せている。母親と並んで、のにつ。
最の方には、私たちの結婚式の写真が貼られていた。若いが、し緊張した顔でこちらを見ている。その横に、母親の字でい言葉が添えられていた。
「どうか、この子を切にしてあげてください」
私はその文を何度も読み返した。は私の妻であり、息子の母親であり、このを支えてきただ。けれど、彼女は誰かの娘でもあった。
「、ごめんな」
彼女が顔をげた。
「おが帰りたいとっていたことにも、寂しかったことにも、ちゃんと気づいてやれなかった。
何も言わないから、何も満がないんだとっていた」
はしばらく黙ってから、ゆっくり首を横に振った。
「私も、言わなかったから」
「これからは違う。お母さんに会いたいなら、いつでも帰ればいい。今度は俺も緒にく」
の目から、涙が粒こぼれた。
「本当に?」
「ああ。今度はじゃなくてもいい。お母さんが元気なうちに、何度でも会いにこう」
はさく頷いた。私は彼女のに、自分のをねた。く緒に暮らしてきたのに、私は彼女のことを何も分かっていなかったのかもしれない。