"雪道を走る父の約束" 第10話
帰りの話
青森をたのは、午を過ぎていた。帰りの荷台には、りんごの箱が隙なく並んでいる。荷崩れしないように、健造は何度もロープを確かめた。荷物を積み直すとき、倉庫のから「ゆっくり帰りなよ」と言われたが、配係からはなるべくく戻るように頼まれている。
のは、あっというに暗くなる。を抜ける頃には、空がになり、あいのへ入るとがり始めた。健造はスピードを落とし、ののテールランプを見失わないようにる。帰りは空荷ではない。りんごの箱を揺らさないよう、急ブレーキは避けなければならない。
夜を過ぎ、健造は福島のドライブインに入った。朝に寄ったとは別の所だったが、ここにも距トラックが何台も並んでいる。運転たちは、ストーブの周りに集まり、の様子や峠の面について話していた。
健造は、まず公衆話の所を探した。円玉を何枚か両替してもらい、受話器を取る。の番号を回すと、呼びし音のあと、さち子がた。
「今、福島。青森は無事に着いたよ。りんごも積んだ」
「よかった。峠はどうだった?」
「はあったけど、チェーンを巻いて越えた。今は帰りだ」
受話器の向こうで、誠が待っている気配がした。
「お父ちゃん、りんご買ってくれた?」
「買ったというより、荷物のからし分けてもらったんだ。
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箱で持って帰るぞ」
「やった。学のみんなに見せていい?」
「に帰ったらな」
誠は、作ったたこをもう度見せてくれると言った。話越しに、を広げる音が聞こえる。どんな絵なのかは分からないが、誠は嬉しそうに説してくれた。健造は、受話器を握りながら、息子の声を最まで聞いた。
さち子に代わると、彼女は「無理して帰らなくていいから」と言った。
「の晩って、約束したからな」
「約束は、元気に帰ってくることだよ」
健造は返事に詰まった。円玉が枚、受話器のへ落ちる。話を切る頃には、のひらの銭がなくなっていた。
堂で夕飯をべ、田と再会した。田は仙台方面へ荷物を運ぶ帰りだった。
「青森までってきたのか。よくったな」
「帰りも京まであるよ」
「眠気が来たら止まれよ。俺もこの先で仮眠を取る」
健造は「分かってる」と答えた。以なら、眠くてもり続けるしかないとっていた。だが、峠で度識がんだことが、まだかられない。帰りでは、危ないとうに止まると決めていた。