みかん小説
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"雪道を走る父の約束" 第5話

円玉をねて

ドライブインのは、ストーブのと、噌汁や焼き魚の匂いでいっぱいだった。えた体に、そのかさがしみる。健造は顔なじみの女将に迎えられた。

「あら、けんちゃん。今は青森までかい?」

「そうなんだ。正の荷物がくてね」

「がてきたから、峠は気をつけなよ」

健造は、いつもの姜焼き定を頼んだ。ご飯は盛り、豚汁も具がい。運転たちは、腹いっぱいべられるを好んだ。隣の席には、同じをってきた仲の田が座っている。

「この先の峠はがいぞ。チェーンは積んだか?」

「積んである。タイヤも見てきた」

「ならいい。りでばすなよ。昨、乗用が台、をれたらしい」

田は、ラジオで聞いた話よりも、実際にってきた仲の話の方が頼りになると言った。健造はうなずきながら、豚汁をすすった。

事を終えると、壁の計に目をやった。約束していたをし過ぎている。入の横には赤い公衆話があり、受話器のには、両替してもらった円玉を何枚か積んでおくためのさな棚がついていた。

くのへ話をかけると、円玉があっというに落ちていく。健造は財布から銭をし、のひらに載せて数えた。円玉を何枚かね、それからダイヤルを回す。

呼びし音が度鳴った。

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「もしもし?」

さち子の声が聞こえる。

「俺だよ。今、福島のドライブインにいる」

「は丈夫?」

「今のところはな。を越えるとが増えそうだ」

話の向こうで、何かがく音がした。誠がそばで待っているのだろう。すぐに、元気な声が聞こえてくる。

「お父ちゃん、今どこ?」

「福島だ。の晩には帰るって言ったろ」

「うん。学でね、たこを作ったんだ。お正に緒にあげようね」

「そうか。楽しみにしてるよ」

誠は、どんな形にしたのか、を何に塗ったのかをで話した。健造は受話器をに当てたまま、積みげた円玉が枚ずつ落ちる音を聞いていた。途で何度も、誠の声がくなる。話の料が残っているか気になりながら、それでももうし話していたかった。

受話器をさち子に代わると、彼女はく言った。

「だから、無理しないでね」

「分かってるよ」

「誠が待ってるからって、ばさないで」

「ばさない」

返事をしたところで、最の円玉が落ち、話は切れた。健造は受話器をしばらく握っていた。もっと話したいことがあった気がする。けれど、もう度かける銭は残っていなかった。

話を切った健造は、へてトラックを見げた。根のでは、つの緑のランプが静かにっている。あのさな灯りので、誠は画用のたこを作って待っている。

健造はそうい、運転席へ戻った。

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