"雪道を走る父の約束" 第1話
の晩には帰る
昭。健造がをる朝、茶ののこたつには、炊きたてのご飯と噌汁が並んでいた。噌汁には、さち子がの晩から戻しておいた煮干しのだしが効いている。健造は湯気を吹きながら椀を持ちげ、向かいに座る学の誠を見た。
「お父ちゃん、今度はいつ帰ってくるの?」
誠は、おかずより父親の返事が気になるらしい。健造は箸を置いて、るく答えた。
「の晩には帰るよ。今度の荷物は青森までだから、が荒れなければな」
「って、あさって?」
「そうだ。今との次の」
誠は指を折って数えた。健造がにいるは、の半分ほどしかない。距便が続けば、週く帰れないこともあった。帰ってきたときには、誠の背がまた伸びたようにじる。に買ったズボンの裾がくなっていたり、学で覚えたをらないうちにえるようになっていたりする。
健造は、夕べ遅くに仙台から戻ったばかりだった。体はまだく、首のろに疲れが残っている。それでも、会社から青森きの荷物があると聞けば、断るわけにはいかなかった。末がづくと、に並べる品も、正の準備に使う荷物も増える。運ぶものが増えれば、運転の仕事も途切れなくなる。
さち子は、聞にくるんだきなおにぎりをつ、健造の鞄に入れた。
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保温瓶にはいお茶をたっぷり詰める。の昼飯は、おにぎりで済ませることがい。堂へ寄ればがかかるし、荷物を待たせるわけにもいかなかった。
「これ、持っていって」
誠が画用で作ったさなお守りを差しした。折り目はし曲がり、端にはクレヨンで青い線が何本も引かれている。
「お父ちゃんが滑らないように作ったんだ」
健造は受け取り、作業着の胸ポケットに入れた。
「ありがとう。事にするよ」
「絶対、なくさないでね」
「分かった」
さち子は何も言わず、健造の襟を直した。には、話を引いた。黒話はタンスのに置かれ、まだし誇らしいもののように見える。公衆話からへ連絡を入れると、円玉がすぐになくなるが、それでも族の声を聞けるようになったのはありがたかった。
「今夜、頃に福島のドライブインから話するよ」
健造が玄関で言うと、誠は「待ってる」と返した。さち子は「だから、急がないで」とくを押す。健造はうなずき、の戸を閉めた。誠が作ったお守りは、胸ポケットのでの音をてていた。