"終電の次の駅は私の名前――ホームには亡き祖母がいた" 第8話
私の名がかれたホーム
「次は、佐伯美咲。おは側です」
放送が繰り返された。私は、さっき祖母の駅をたばかりだ。もう度、自分の名の駅に止まるはずがない。けれど、はまた速度を落とし、窓のにホームのかりがづいてきた。
「おは側です」
側の扉がく。ホームには、祖母だけでなく、これまでの駅で会ったたちが並んでいた。曽祖母の、歳のままの優太、田辺しげるという老、会社で倒れた男性。そのほかにも、らないが何もいる。
駅名の板には、やはり私の名があった。佐伯美咲。きな字で、はっきりかれている。
祖母は、列のいちばんにっていた。先ほどと同じようにを招く。その隣には、誰もいない所が分だけ空いている。私がりるための所だ。
「こっちへおいで」
私は、扉のへづいた。どこかくで、会社のパソコンの通音が鳴った気がした。の朝になれば、また職へかなければならない。机のには、終わっていない資料がある。司からのメールには、さらに追加の仕事がかれているだろう。
「もう疲れたね」
祖母が言う。ホームに並ぶたちも、私を急かさずに待っている。彼らの顔にはりも焦りもない。ここへ来れば、何も考えずに済むように見えた。
私は歩、扉の方へんだ。
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そのとき、運転席の方向から、放送が聞こえた。
「おは側です」
私は振り返った。の反対側、の扉がいている。そこにはホームがない。窓のは真っ暗で、何も見えなかった。
側では祖母が招きをしている。側は暗だ。どちらがなのか、もう度聞こうとした。すると、内放送は同じ言葉を繰り返した。
「おは側です」
祖母の顔から、しずつ笑顔が消えた。
「美咲、そっちはだめだよ」
声は優しいままだった。けれど、どこか切羽詰まっているように聞こえる。
「おばあちゃん、私はどうしたらいいの?」
祖母は答えず、私の名を呼んだ。私がを伸ばすと、祖母もを伸ばす。私はそのをつかみたかった。もう度だけ、祖母に甘えたかった。
内放送が度、側の扉を告げた。
私はのホームを見た。祖母の隣は空いている。あそこへりれば、最の話の続きができる。の扉の向こうは、真っ暗で何も見えない。
それでも私は、側へ向かうことにした。