"終電の次の駅は私の名前――ホームには亡き祖母がいた" 第6話
運転席の声
次の駅の放送を待つ、私は運転席へ戻った。黒いカーテンの隙から、赤みのあるかりが漏れている。誰かがいるのは違いない。今度こそ事を聞こうと、私は扉を何度も叩いた。
「けてください。私の名が駅になっているんです。どういうことなんですか」
返事はない。けれど、のる音の向こうで、がく気配がした。
「聞こえてますよね。私、まだんでいません」
しばらくして、運転席の奥から、あの男性の声がした。
「お客様、次の駅までお待ちください」
「次の駅でろしてくれるんですか?」
声はすぐには答えなかった。ほんのし迷っているように聞こえる。
「お客様、次の駅までお待ちください」
同じ言葉が、もう度繰り返された。私はカーテンをつかんだが、扉は固く閉まっている。力任せに引いてもかなかった。
そのとき、次の放送が流れた。
「次は、佐伯美咲。おは側です」
私の名だった。
は、ゆっくり速度を落としていく。私は壁にをつき、何とかっていた。窓のに、駅のかりがづいてくる。駅名の板には、私の名がかれているはずだ。
「どうして、私の名が……」
返事はない。運転席の赤いかりが、カーテンの隙で揺れた。
が止まる。側の扉がいた。ホームには、祖母がいた。曽祖母も、優太も、会社で倒れたという男性もいる。
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らないたちが何も並び、私を待っている。誰もがんだたちだった。
列の先には祖母がち、その隣だけが分、空いている。
私の所だ。
祖母は、あのの話と同じように、私に声をかけた。
「美咲、ちゃんとべてるかい?」
懐かしい声だった。会いたかった。最の話を切ったことを謝りたかった。仕事を理由に会いにかなかったことも、周忌にもけなかったことも、全部話したかった。
「おばあちゃん、ごめんね」
私は扉ので、声を絞りした。
祖母は首を横に振る。
「謝らなくていいよ。こっちへおいで。もう疲れなくていいんだから」
その言葉は優しかった。責めるところがひとつもない。だからこそ、私は余計にりてしまいたくなった。ち止まる理由はあるのに、ここに残って頑張る理由が見つからなかった。