"終電の次の駅は私の名前――ホームには亡き祖母がいた" 第5話
んだの駅
次の駅までの、私は座席に座ったまま、のひらを握りしめていた。田辺しげる、曽祖母の、島優太。どのも、もうくなっている。駅名がの名になっているのではない。くなったが駅になっているのだ。
それなら、あの広告にかれていた名は、これから駅になるたちの名簿なのかもしれない。「繰りがりのおらせ」という言葉をいす。んだの順番が変わる。その名簿に、乗っているの名もあるのだろうか。
「次は、岡田宿。おは側です」
らない名だった。けれど、扉がいたとき、私はすぐに会社のだと気づいた。ホームにつ男性は、首から社員証をげていた。紺のスーツに、よれたシャツ。目のには濃いくまがある。見覚えはあるが、部署が違うため、名まではいせなかった。
男性は、私の社員証に気づいた。
「あれ、佐伯さん。まだあの部署にいるの?」
私は驚いて、ホームへを乗りした。
「あなた、にうちの会社にいたんですか?」
「の部署にいたよ。に辞めたけど」
男は困ったように笑った。
「会社に泊まり込んで、机で倒れたがいたって聞いたことがあります。あなたがそうなんですか?」
「そう。あの頃は、自分でも何をしてるのか分からなかった。残業して、終で帰って、朝はまた社。
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誰かが倒れるまで、仕事を減らせない会社だった」
男のろには、同じ会社の社員証をげたたちが何もいた。みんな疲れた顔をして、ホームの奥に並んでいる。
「佐伯さんも、まだ同じところにいるんだね」
男はそう言って、私の目を見た。
「く辞めなよ。ここ、同じ会社のがいからさ」
「ここって、どこなんですか」
「駅だよ。俺の駅」
男はそう答えた。扉が閉まりかける。私は慌てて、扉の横にある非常通報ボタンを押した。
「待ってください! ろしてください! 私はに帰りたいんです!」
返事はなかった。ボタンを何度押しても、警報音すら鳴らない。扉が閉まり、は何事もなかったかのようにりした。
「このは、空席のないまま運しております」
さっきの放送がのでよみがえる。内には、私ひとりしかいない。けれど、運転席からは空席がないと言われた。
あの広告が告げていた繰りがりとは、名簿に載っているの順番がまることなのかもしれない。私は、社員証を握りしめた。これ以、らないの名を聞きたくなかった。