"終電の次の駅は私の名前――ホームには亡き祖母がいた" 第4話
田辺しげる駅
は、見慣れた駅のようなホームに止まった。ベンチの位置も、自販売の並びも、柱のも、私が毎朝利用する駅とよく似ている。違うのは、駅名の板に「田辺しげる」とかれていることだけだった。
側の扉がく。ホームには、背を丸めたおじいさんがひとりっていた。古いコートを着て、両をでねている。おじいさんは私を見ると、ゆっくりくをげた。
「田辺さん、ですか?」
声をかけても返事はない。おじいさんは顔をげず、そのままっていた。誰も乗ってこない。誰もりない。しばらくして、扉が閉まった。
がきすと、私は席に戻った。名が駅になっていることも、ホームにつが私を見てをげたことも、何ひとつ説がつかない。窓に映る自分の顔は青く、がし震えていた。
「次は、。おは側です」
。聞き覚えのある名だった。祖母の名ではない。けれど、実の仏壇に写真が飾られている、くなった曽祖母の名だ。私はさい頃に度会っただけで、顔もほとんど覚えていなかった。
が止まり、の扉がいた。ホームには、写真で見たのと同じ着物を着た柄なおばあさんがいた。髪をきれいにまとめ、こちらを静かに見ている。曽祖母は何も言わなかった。ただ、私の顔を見て、しだけ目を細めた。
広告
私は扉のまでったが、りることはできなかった。曽祖母の名が駅になっている。つまり、このはくなったの名を駅として通っているのではないか。そう考えると、田辺しげるというも、というも、もうこの世にいないのだろう。
「次は、島優太。おは側です」
その名を聞いた瞬、息が止まりそうになった。優太は学代の同級だ。の、部活の帰りに事故でくなった。私は通夜にたが、彼の顔を見たのはそれきりだった。
扉がくと、ホームには制姿の優太がっていた。歳のときと同じ顔で、片を軽くげる。
「美咲、久しぶり」
声も、あの頃のままだった。
「優太……どうしてここに」
「どうしてって、俺の駅だから」
優太は、困ったように笑った。
「お、ちょっとくないか?」
「いって、何が?」
「ここは順番だからさ」
扉が閉まった。がまたりす。優太の最の言葉が、ので何度も響いていた。ここは順番。誰が、何の順番で並んでいるのだろう。