みかん小説
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"フクと小さなおにぎり" 第11話

画面の向こうの卓

フクは、スマートフォンの画面を見つめていた。すぐにづくことはせず、ゆいの声が聞こえるたびにをかしている。ゆいが「フク」と呼ぶと、フクは画面をのぞき込むように歩へた。

病院の夕が運ばれてきたらしく、由佳がさなテーブルをえている。ゆいはスプーンを持ち、画面のこちら側にいる俺を見た。

「パパも、フクも、ご飯べてね」

「分かった。みんなでべよう」

俺はフクの皿を、ゆいの子の隣に置いた。由佳はゆいの事を伝い、ゆいはスプーンでひとべる。俺も自分の夕飯をべ始めた。フクは、画面ののゆいと自分の皿を何度も見比べた。

「フク、ご飯だよ。ゆいもべるよ」

ゆいがもうべた。フクはしだけ皿にづいた。俺は声をかけず、フクのきを待った。ゆいも、フクがべるかどうかをじっと見ている。

やがて、フクが皿にをつけた。さくカリッと音がした。

「フク、べたね!」

ゆいの顔がるくなる。フクは度だけ顔をげたが、画面ののゆいがべているのを見ると、また皿へ戻った。今度は止まらず、しずつフードをべていく。

由佳は画面の向こうで、元をで押さえていた。泣きながら笑っている。俺も、気づけば目がくなっていた。ゆいの声が、のに戻ってきたようだった。

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フクは、しばらくして皿のを空にした。べ終わると、スマートフォンの画面にをづけた。ゆいは画面越しに「フク、おいしかった?」と聞く。フクは答えないが、喉をさく鳴らした。

それから毎晩、俺たちはビデオ通話をつないで、緒に事をした。病院でゆいがべる。では俺とフクがべる。由佳はゆいの隣に座り、同じに事をとった。

「いただきます」

「ごちそうさま」

画面越しに声を掛けう。フクは通話がつながると、ゆいのさな子のそばへ座るようになった。ゆいがべ始めるのを見てから、自分の皿にをつける。

フクの欲は、しずつ戻っていった。最初はゆいがべているだけだったが、やがて俺がそばに座っていてもべられるようになった。もちろん、まだそうに顔をげるもある。それでも、ゆいの声が聞こえると、フクはまた皿へ戻った。

週、ゆいは元気になり、退院することが決まった。俺は病院へ迎えにき、由佳とゆいをに乗せてへ帰った。玄関のドアをけると、ゆいはきな声で言った。

「ただいま、フク!」

の奥から、フクがってきた。

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