"フクと小さなおにぎり" 第10話
ゆいがいない
ゆいのは、最初はよくある邪だとっていた。ところが、翌になってもががらず、病院で診てもらうと、そのまま入院が必だと言われた。由佳は病院に付き添い、俺は着替えや必なものを取りにへ戻った。
玄関をけても、ゆいの声がしない。いつもならってきて、「パパ、おかえり」と迎えてくれる。さな靴も、遊んでいたおもちゃも、そのまま残っている。のが急に広くなったようにじた。
フクは玄関まで来たが、俺のろを何度も見た。由佳とゆいが緒に帰ってくるとっていたのかもしれない。
「ゆいは病院にいるんだよ。ががったら帰ってくるからな」
俺はそう言ってフクの背を撫でた。フクは俺のにを寄せたが、すぐに玄関の方へ目を向けた。
その夜、仕事を終えて帰ると、フクの皿には朝に入れたご飯がほとんど残っていた。次のも、その次のも、フクはししかべなかった。俺が卓に座り、いつものように声をかけても、フクは皿のに座ったまま、玄関をじっと見ている。
「フク、べよう」
何度呼んでも、フクは顔を向けない。病院へ連れていき、体に問題がないか診てもらった。検査では、目った異常は見つからなかった。獣医は、族が急にいなくなったことで、がくなっているのかもしれないと言った。
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「この子にとっては、ゆいちゃんも奥さんも事な族なんでしょう。帰ってくるまで、できるだけいつもの活を続けてあげてください」
俺はへ戻り、フクの隣に座った。フクは皿を見ず、玄関を見続けている。ゆいがいない。由佳もいない。フクので、昔の怖さが戻ってきたのだろう。べているに切ながいなくなる。その記憶が、また顔をしてしまったのかもしれない。
病院にいる由佳へ話すると、ゆいはしずつ元気になっていると聞いた。
「ゆいがね、ずっとフクのことを気にしてるの。『フク、ご飯べた?』って」
話の向こうで、ゆいの声がした。
「パパ、フクべた?」
「あまりべてないんだ。ゆいがいなくて、寂しいのかもな」
「ゆい、フクとご飯べたい」
その言葉を聞いて、俺はいついた。ゆいをに連れてくることはできない。でも、スマートフォンの画面越しなら、声も顔も見せられる。
次のの夕方、俺は卓の隣にゆいのさな子を置いた。スマートフォンを棚にて、病院にいる由佳とビデオ通話をつなぐ。画面に、パジャマ姿のゆいが映った。腕には点滴のテープが貼られていたが、顔はしよくなっていた。
「フク、いる?」
俺が画面をフクの方へ向けると、フクのがぴんとった。