"フクと小さなおにぎり" 第9話
フクの席
卓の隣に置いたのは、フクの皿を乗せるさな台だった。猫のご飯との事が混ざらないように、皿は別にし、べ終わったら毎回きれいに拭く。族が同じ所でべられるように、由佳がさを調してくれた。
最初のうち、フクは台のくまで来ても、すぐにはべなかった。ゆいが子に座り、べ始めるのを見てから、ようやく皿へづく。俺たちが「いただきます」と言うと、フクもべ始めるが増えていった。
「フクの席、できたね」
ゆいは自分の子の隣を指さして、嬉しそうに笑った。フクは事が終わると、ゆいの元に座る。ゆいがを伸ばすと、をすり寄せた。
もちろん、何もかも順調だったわけではない。俺がべている途でちがると、フクはすぐ顔をげた。由佳が台所へくと、皿かられてしまうこともある。そんなときは、急かさずに「すぐ戻るよ」と伝え、戻ったらフクが落ち着くのを待った。
「フク、ゆいはここにいるよ」
ゆいは、べながらそう声をかけることがあった。フクはゆいの顔を見ると、したように皿へ戻る。いつのにか、ゆいのさな声はフクにとって図になっていた。
フクがでべられるようになってから、族の事のもし変わった。俺たちは以より席をつ回数が減り、べ終わるまで同じ所にいるようになった。
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もともと事にスマートフォンを見たり、片づけを始めたりしていたが、フクが来てからは、べるをゆっくり過ごすようになった。
「フクのおかげで、うちの卓が静かになったね」
由佳が言う。
「静かというか、みんなべ終わるまでかなくなったな」
「ゆいも、よりちゃんと座ってべるようになったよ」
たしかに、ゆいは以より落ち着いてべるようになった。フクがそばにいるのが嬉しいのか、自分のご飯をしずつへ運ぶ。べ終わると、フクがちゃんとべたか確認する。
フクは、もリビングで過ごすが増えた。窓辺で昼寝をしたり、俺の元で丸くなったりする。ゆいが絵本を読むと、隣に座ってページを眺めるようになった。
それでも、らないが来ると隠れてしまう。きな物音にも驚く。事に族が席をてば、今でも瞬顔をげる。怖い記憶がすぐ消えるわけではない。俺たちは、フクができるをひとつずつ増やしていくしかなかった。
に来てから半が過ぎ、フクはようやく「ここが自分のだ」とい始めたように見えた。ところが、の終わりにゆいがをし、その暮らしがまた揺れることになる。