"フクと小さなおにぎり" 第7話
さなおにぎり
「フク、ご飯。ゆいもべるよ」
ゆいは子にちょこんと座り、おにぎりを両で持った。俺は、フクにのべ物をあげるのかとい、声をかけかけた。けれど、ゆいは自分のおにぎりをかじって、もぐもぐとべている。フクにべさせようとしているわけではない。
「ゆいも、フクと緒にべるの?」
俺が尋ねると、ゆいはうなずいた。
「うん。フク、ひとりじゃないよ」
その言葉に、由佳と俺は顔を見わせた。ゆいは、べているに誰かがいなくなるというフクの怖さをっているわけではない。それでも、フクがひとりでご飯をべていることを、ずっと気にしていたのだろう。
部は静かになった。ゆいがさなおにぎりをべる音だけが聞こえる。フクは皿のに座ったまま、ゆいの様子をじっと見ていた。
ゆいはもう、おにぎりをかじった。
「おいしいね」
フクは、ゆいと皿を何度も見比べる。俺たちはかず、声もかけなかった。フクが自分で決めるのを待つ。
しばらくして、フクがゆっくりちがった。ゲートの向こうから歩、また歩とづいてくる。皿のまで来ると、ゆいの顔を見た。
ゆいはにっこり笑い、もうおにぎりをべた。
「フクもべていいよ」
フクは皿に顔をろした。カリッと、フードを噛むさな音がした。
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俺は息を止めた。由佳は元を両で覆い、声をさないようにしている。フクは粒べると、顔をげた。ゆいは子に座ったまま、おにぎりをべている。俺も由佳も、同じ所にいた。
フクは、もう度皿に顔を戻した。
カリカリ、カリカリ。
ゆいは自分のおにぎりをしずつべ続けた。フクも、途で何度か顔をげながら、しずつフードをに運ぶ。やがて、皿のが空になった。
フクはゆっくり顔をげた。俺たちがまだそこにいるのを確かめるように、由佳、俺、ゆいの順に見ていく。最にゲートの隙から先をし、ゆいの指にそっと触れた。
「フク、おいしかったね」
ゆいは笑った。
由佳は目に涙をためていた。俺も、気づけば頬が濡れていた。たった、猫がご飯をべただけと言えば、それまでかもしれない。でも、フクがのでべられたのは、そのが初めてだった。
ゆいは、おにぎりをべながら隣にいただけだ。何か特別なことをしたわけでも、フクに頑張れと言ったわけでもない。ただ、緒にべた。それが、フクにとって初めて「べても丈夫」とえるになったのかもしれない。
その夜、フクはゆいの子の元で丸くなった。由佳が「よかったね」と声をかけると、フクはさく喉を鳴らした。俺たちは、初めて聞くその音を、しばらく黙って聞いていた。