"フクと小さなおにぎり" 第6話
かけても変わらないこと
フクは俺たちにしずつ慣れていった。俺がソファに座ると、元へ来て横になる。由佳が洗濯物をたたんでいると、部の隅からその様子を見ている。ゆいが「フク」と呼ぶと、をかし、ときには自分から寄ってに体をすり寄せた。
ゆいは、フクの扱い方を覚えていった。眠っているときは起こさない。べているときはづかない。フクが逃げたら追いかけない。まだ歳になったばかりなのに、ゆいなりにフクの気持ちを考えているようだった。
それでも事だけは、なかなか変わらなかった。がいると皿にづけない。俺たちが部をて、静かになってから、ようやくべる。由佳は獣医の言葉どおり、体やべた量を記録していた。フクがきちんとべていることは分かっていたが、事のにそうな顔をするのを見ると、胸が痛んだ。
「無理にべさせることはできないもんね」
由佳が記録帳を閉じながら言った。
「うん。フクが自分でべられるようになるまで、待とう」
俺たちは、できることを続けた。ご飯を置く所を変えてみたり、皿の形を変えてみたり、部のかりをし暗くしてみたりもした。けれど、のではべないという点は変わらなかった。
それでも、フクは俺たちのことを嫌っているわけではなかった。
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俺が仕事から帰ると、玄関まで迎えに来る。由佳がに座っていると、膝にをかけることもある。ゆいが絵本を読んでいるそばで、丸くなって眠るようにもなった。
が来て、が過ぎ、のが吹いた。ゆいは歳になった。話せる言葉が増え、自分で靴を履こうとしたり、スプーンを持ってべたりするようになった。フクが来てから、もうすぐになる。
そのの、いつもの夕のあと、フクのご飯を用した。皿を置くと、フクは部の入りから様子をうかがった。何度かづいては、俺たちの方を見て引き返す。由佳が俺に目配せをした。
「私たち、向こうへこうか。フクが落ち着いてべられるように」
俺はうなずき、子からとうとした。
そのとき、廊からガタン、ガタンと音がした。振り返ると、ゆいが自分のさなの子を、両で押しながら運んできていた。
「ゆい、どうしたの?」
「フクとご飯」
ゆいはそう言って、ゲートのに子を置いた。俺たちが止めるよりく、ゆいは自分の着のポケットにを入れた。そこからてきたのは、夕飯のときに母親が握ってくれたさなおにぎりだった。