"フクと小さなおにぎり" 第5話
フクが怖がる理由
フクがに来てから数かたった頃、俺はペットショップへち寄った。フクが気に入っているおやつが切れたからだ。には、迎えたときに話をしてくれた員がいた。俺はフクがのでべられないことを伝え、以からそうだったのか尋ねた。
員はすぐには答えなかった。棚に商品を並べるを止め、フクのことをいすように目を伏せる。
「最初のにいた頃、事に飼い主さんがかけることがかったと聞きました」
「べているに、ですか?」
「はい。フクがご飯にになっているに、飼い主さんが部をる。べ終わって顔をげると、誰もいない。そんなことが何度もあったそうです」
俺は、何も言えなかった。
最のも同じだったらしい。飼い主は、フクがご飯をべているに連れてきて、に預けて帰った。フクが顔をげたとき、そこにはもう族の姿はなかった。
「に戻ってからも、フクは何も入を見ていました。誰かが迎えに来るとっていたんでしょうね」
員は言葉を詰まらせた。フクがどうしてでべられないのか、ようやく分かった。ご飯にになって顔をげているに、切ながいなくなる。フクは、それを何度も経験していたのだ。
帰り、俺はしばらくをせなかった。
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お腹がすいているのに、べるのが怖い。べ終わって顔をげたら、またひとりになっているかもしれない。フクはあのさな体で、ずっとそんなを抱えていたのだ。
に帰ると、フクは窓辺で眠っていた。俺がづくと目をける。ならすぐ逃げていたが、そのはそのにいて、俺のの匂いを嗅いだ。俺は背をそっと撫でた。
「もう誰もいなくならないよ」
言葉がフクに届くかは分からない。それでも、にせずにはいられなかった。
由佳にも、員から聞いた話を伝えた。由佳は黙ってフクの器を見つめた。
「べているに置いていかれたんだね。そりゃ、がいるとべられなくなるよ」
そのから、俺たちはフクの事のに声をかけるようになった。部をるときは「を取りにくね。すぐ戻るよ」と言う。戻ったときは、急にづかず、フクがこちらを見るまで待つ。べているも、なるべく静かにしていた。
それでも、すぐに変化がるわけではなかった。フクは夜にべ、朝には皿が空になっている。では、相変わらずもべない。けれど、俺たちは焦らないことにした。まずは、ここでは置いていかれないと、毎の暮らしので伝えていくしかない。