"フクと小さなおにぎり" 第4話
べるときだけ見せる顔
フクがに来てから、俺たちは暮らしのにいくつか決まりを作った。ゆいがフクを追いかけないこと。眠っているときは触らないこと。フクが自分からづいてきたら、そっと撫でること。歳に満たないゆいにどこまで伝わるか配だったが、ゆいはフクの様子をよく見ていた。
「フク、なでてもいい?」
ゆいは俺の顔を見てから、を伸ばす。俺がうなずくと、フクのを度だけ撫でる。フクも嫌がらず、目を細めるようになった。
のを歩くも増えていった。窓辺でなたぼっこをしたり、ソファので昼寝をしたり、ゆいが絵本を読む隣に座ったりする。名を呼ぶとをかし、俺が帰宅すると玄関までてくるもあった。
ところが、事のになると、フクはいつものようにそうな顔をした。皿をにして匂いを嗅ぐ。けれど、俺たちが見ていることに気づくと、すっとがってしまう。
「お腹がすいてないのかな」
由佳が配して尋ねる。
「夜にはべてるみたいだよ。皿も減ってるし」
獣医にも相談してみた。体はきく落ちておらず、健康状態にも問題はない。無理にべさせようとせず、落ち着ける所を作って、猫が自分のペースでべられるようにすればいいと言われた。
分かってはいても、事のたびに部をるのは、俺たちにとっても落ち着かなかった。
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せっかくに迎えたのに、フクはではべられない。べているところを見られるのが嫌なのか、それとも何か別の理由があるのか、考えても答えはなかった。
ゆいは、フクがべないことを気にしていた。
「フク、おなかすいた?」
「すいてるとうよ。でも、今はひとりでべたいのかもね」
由佳がそう答えると、ゆいは皿とフクの顔を交互に見た。
「ひとり、さみしいね」
その言葉を聞いて、由佳はし驚いた顔をした。ゆいには、フクがひとりでべているように見えていたのだろう。俺は「そうだな」と言いながらも、そのときはまだ、ゆいの言葉のをく考えなかった。
季節はからへ変わった。フクはので過ごすことに慣れ、ゆいもたくさんの言葉を覚えた。事のことも、が解決してくれるだろう。俺たちはそうおうとした。
けれど、フクは皿のにつたび、何度も俺たちの顔を確かめた。べたいのに、づけない。そんな様子を見ていると、ただの臆病とはえなくなってきた。俺たちはもう度、フクをから迎えたときの話を聞いてみることにした。