"フクと小さなおにぎり" 第2話
もう度会いにく
ゆいを寝かしつけたあと、俺と由佳は台所で向かいって座った。器を片づけ、湯みにお茶を入れても、ともなかなか話を始められなかった。
「やっぱり、あの子のことが気になる?」
由佳が先にをいた。
「うん。あのまま誰にも迎えられなかったら、どうなるんだろうって考えてしまう」
「私も。ゆいがあんなに気にするなんてわなかった」
俺たちは、ゆいがもうしきくなったら猫を迎えようと話していた。できれば保護猫を引き取りたいとも考えていたので、ペットショップで猫を買うことには、俺なりの迷いがあった。から迎えれば、次の物も仕入れられる。そんな仕組みをっていたからだ。
方で、今そこにいるフクのことも気にかかった。の隅で丸まり、誰かが見てくれるのを待っている。迎えるかどうかは簡単に決められないが、まずはもう度会って、員から話を聞いてみようとった。
次の、族でを訪ねた。フクは昨と同じ所で、体をさく丸めていた。俺たちがづくと、ゆっくり顔をげる。ゆいはガラスにを伸ばしたが、由佳が「そっとね」と声をかけると、指先をガラスにつけたままじっとしていた。
「この子のことを、もうし聞かせてもらえますか」
由佳が員に尋ねると、員は度フクを見てから、し言いにくそうに話し始めた。
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「フクというのは、私たちがつけた仮の名なんです。もしお迎えいただけるなら、しい名をつけてあげてください」
ほかの猫には名がないのに、フクだけ呼び名がある。その理由が気になった。
員は、しばらく黙ったあと、声を落として話した。フクは以、度だけ別のに迎えられていた。けれど、週ほどでに戻されてしまったという。
「ったより懐かなかった、というのが理由でした。飼い主の方からは、引き取れないなら保健所へ連れていくとも言われて……」
員は言葉を選ぶように、ゆっくり話した。本来、では度渡した猫を引き取らないことになっていたそうだ。それでも、き先がなくなったフクをそのままにしておけず、員たちが相談して連れ戻したのだという。
「せめて、次は幸せになってほしいとって。幸福の福から、フクと呼ぶようにしました」
話を聞き終えると、由佳が俺を見た。俺も由佳を見返す。とも、同じことを考えているのが分かった。
「名は変えません。フクのままでいいです」
そう伝えると、員は目を赤くして何度もをげた。俺はまだ、この子がうちに慣れてくれるかだった。それでも、ケースのでゆいを見ているフクの顔は、昨よりしだけがっているように見えた。