みかん小説
本棚

"「清掃員の面接?」元看護学生が15年後に明かした正体" 第4話

踏みにじられた真実と、たい宣告

ナースステーションの奥で、指導者のみな子が優雅にコーヒーをんでいました。

「部さん! 桐野さんのバイタルについて、至急ご報告があります!」 息を切らせて駆け寄ったさえに、みな子は嫌そうに眉をひそめました。

「ちょっと、きな声を急にさないでちょうだい。品がないわね」

「申し訳ありません! ですが、桐野さんの尿量がから漸減しており、今朝から呼吸数が増加しています! お腹の触診でも、わずかな筋性防御が見られます! 術の縫全による腹膜炎の初期症状ではないでしょうか!?」

さえは必に記録用を差ししました。 しかし、みな子はそのに線を落とそうともしませんでした。 ややかにさえを瞥すると、カップをソーサーにコトッと置きました。

「何を気なことを言っているの? たかが実習の分際で、医師の真似事みたいな診断をさないでちょうだい」

「ですが、桐野さんの様子がらかにいつもと違います! このままでは――」

「黙りなさい!」 みな子の徹な声がステーションに響きました。

「桐野さんはさっきの回診でも問題なしってカルテにかれているわ。もないのに染症なわけないでしょう。学は黙って、言われた通りの清拭とオムツ交換だけしていればいいのよ!」

広告

みな子は類をバサリとまとめると、さえの横をにすり抜けてってしまいました。 (このままじゃ、桐野さんが遅れになる……!)

さえは拳を握りしめました。 指導者の越しにすれば、実習の規則違反になることは百も承でした。 けれど、目ので失われようとしている命を見過ごすことなど、どうしてもできませんでした。

さえはナースステーションの内線話の受話器を掴みました。 呼びしたのは、桐野の主治医であるベテラン科医の井でした。

「井先! 実習の松田です! 桐野さんの容態について、緊急のご報告があります!」

さえは震える声を必に抑え、の尿量の推移、呼吸数の変化、そして腹部の所見を、迷いなく確に伝えました。 受話器の向こうで、井の息を呑む音が聞こえました。

『……分かった。すぐに緊急の造CTを配する。おは桐野さんのそばをれるな!』

処置は、まさに髪でした。 腹部CTの結果、さえの指摘通り、縫部からの微な漏による急性腹膜炎が確認されたのです。 即座に緊急のドレナージ術がわれ、桐野は集治療で命を取り留めました。

翌、主治医の井は病棟のスタッフ全員ので、はっきりと宣言しました。 「あの学の微細な観察と、迅速な報告がなければ、桐野さんは今朝を迎えることができなかった。

広告

素らしい判断だった」

ところが――。 そのの夕方、病院へ提された事故防止の改善報告を見て、さえは愕然としました。 そこには、こう記されていたのです。

『指導者・部みな子の綿密な観察と期発見により、急変を未然に防ぐことに成功した』

さえの名は、どこにもありませんでした。 みな子は自分の見落としと失態をもみ消すため、さえの功績をすべて自分のものとして横取りしていたのです。

「何か文句でもあるの?」 医局の廊で問い詰めたさえに、みな子は酷な笑みを浮かべました。

「学の柄なんて、指導者の指導があってこそのものでしょう? 分相応なスタンドプレーに謝されるとでもった? あんたはしく、トイレの掃除でもしていればいいのよ」

悔しさに震えるさえののひらに、爪がくい込みました。 けれど、このときのさえはまだらなかったのです。 プライドを傷つけられたみな子の怨嗟が、さらに残酷な形で自分に襲いかかってくることを。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: